通常はアナリストが行う業務を人工知能(AI)に代行させた新興ヘッジファンドが最初の半年間で世界株のパフォーマンスを上回る運用成績を上げ、調査コストも節減できた。

シドニーに本社を構えるミノトール・キャピタルはアーミナ・ローゼンバーグ、トーマス・ライス両氏が共同で設立した。

ローゼンバーグ氏(37)はJPモルガン・チェースで新興企業調査を担当した後、資産家マイク・キャノンブルックス氏の世界株式ポートフォリオを運用した経歴を持つ。ライス氏(44)は資産運用会社パーペチュアルの元ポートフォリオマネジャー。

両氏による世界株投資の今年1月までの半年間のリターンはプラス13.7%と、MSCIオールカントリー・ワールド指数の同6.7%を大きく上回った。

ミノトールにはアナリストはいない。ローゼンバーグ氏はAIモデルの方がはるかに作業が速く、低コストであり、AIのコストはジュニアアナリストの給料の「半分程度」だと語った。

AIの進化が加速する中で、ミノトールのようにAIを活用してリターン向上とコスト削減を目指すヘッジファンドが増えている。ただAIモデルが長期的にアウトパフォーム可能かどうかはなお不透明だ。

ミノトール・グローバル・オポチュニティーズ・ファンドのマンデートは幅広く、全ての世界株を対象にしている。運用手数料は1.5%で、利益に対して20%の成功報酬を受け取る。ローゼンバーグ氏は運用資産が今年末までに5000万豪ドル(約48億2000万円)に達する見込みだと述べた。

このファンドが採用している大規模言語モデル(LLM)は毎日約5000本のニュース記事を読み込み、3年で2倍、その後の10年間で10倍の株価の伸びが見込めると判断した銘柄について2000語程度のリポートを作成可能だ。

ローゼンバーグ氏はAIについて、「ちまたには人が到底処理できない大量の情報があふれているため、これは情報を絞り込み、戦略の変更を進める企業に今こそ転換点であり、転換を検討する価値があるかどうか判断すべき時だと知らせるものだ」と説明した。

原題:Hedge Fund Startup Replacing Analysts With AI Beats the Market(抜粋)

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