欧州のヘッジファンドは、顧客資産120億ユーロ(約1兆9200億円)で2100億ユーロもの投資をしている。欧州証券市場監督機構(ESMA)がこう指摘し、オルタナティブ(代替)投資全般でレバレッジが拡大していると警告した。

ESMAは市場リスクに関する半年に一度の報告書で、「ヘッジファンドはとりわけレバレッジを効かせ続けている」と指摘した。

ESMAによれば、あるヘッジファンドの一群は「大幅に」レバレッジをかけ、そのエクスポージャーは合計で「18倍に上る」。

昨年公表した報告書では、モーゲージ債への投資でグロスレバレッジ比率が2000%超に上るヘッジファンドが一部にあると指摘していた。

ヘッジファンドによる借り入れに関しては、規制当局による監視の目がこのところ一段と厳しくなっている。イングランド銀行(英中央銀行)は昨年、米国債市場におけるヘッジファンドのポジションが非常に大きくなっているとし、金融安定へのリスクだと指摘した。

ESMAはまた、プライベートエクイティー市場の規模が7220億ユーロと、2020年以降に倍増したと指摘し、バリュエーションに対する懸念を表明。

金融市場の全般的リスクも「高い、または非常に高いままだ」と分析した。

「欧州連合(EU)の主要加盟国および国際レベルで、政治的リスクが大きな不確実性を伴って増大し続けている」と報告書は指摘。

「予算面での困難や迫り来る公的債務問題、貿易紛争、その他の顕著な政治的対立が、金融市場を不安定にする恐れがある」と論じた。

証券市場については、米株式のバリュエーションが歴史的な高水準にある中で、「予想外のイベントに対し、過度な反応が引き起こされるリスク」があると記した。

地政学的緊張の高まりを背景に、サイバーセキュリティーのリスクがますます高まっているとも指摘した。

原題:Hedge Funds in Europe Get Watchdog Warning for 18 Times Leverage(抜粋)

もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp

©2025 Bloomberg L.P.