トランプ米大統領の関税政策は当初ドル高をもたらすものの、最終的にはドルの足かせとなる。バンク・オブ・アメリカ(BofA)のG10為替戦略責任者、アタナシオス・バンバキディス氏がこうした見方を示した。

12日付のリポートで「ドルは結局、関税を好まないかもしれない」と指摘。「米国が他国に対して関税を課し、全面的な報復措置が講じられるシナリオでは、ドルは下落する可能性がある」と述べた。

これまでのところ、米国による関税賦課は世界の基軸通貨であるドルの安全資産としての価値を高めている。関税は世界貿易の流れを一変させ、米国のインフレリスクを高める恐れがあるためだ。

ブルームバーグ・ドル・スポット指数は、力強い米国の経済拡大と同盟国および敵対国に対する新たな関税賦課への表明が支援材料となり、昨年9月下旬の安値から約7%上昇した。

トランプ氏が先週、メキシコとカナダからの輸入品に25%の関税を課すと発表した直後、同指数は1%余り上昇したが、関税発動延期で合意したことを受け、上げ幅を縮小した。

また直近で米国は3月12日からアルミニウムと鉄鋼の輸入全てに25%の関税を課すと発表しており、自動車からインフラまで幅広い産業で使用される金属の国際貿易に混乱を招く恐れがある。

バンバキディス氏は、トランプ氏が米国の輸入品全てに10%または20%の関税を課した場合、各国は報復し、米国は「より脆弱(ぜいじゃく)」になると警告。「米国で貿易保護が最も高まるため、世界の他の国々はこれまで通りに互いに貿易を続けるか、あるいは米国の関税に応じて互いの貿易保護を縮小する可能性さえある」とし、これが米国の長期的な生産性に悪影響を及ぼし、米国の例外主義に疑問を投げかけ、ひいては長期的にドルを弱めることになるとコメントした。

原題:BofA Says US Tariffs to Weaken Dollar If Nations Strike Back(抜粋)

もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp

©2025 Bloomberg L.P.