米コンサルティング会社マッキンゼー・アンド・カンパニーは、全職場で多様性を優先すると宣言した。民間企業にDEI(多様性、公平性、包摂性)方針の撤廃を迫るトランプ米大統領の指示を反映した他社の動きとは一線を画す。

マッキンゼーのグローバル・マネジング・パートナー、ボブ・スターンフェルズ氏は従業員に宛てた3日付の文書で、「一部から、能力主義の当社は今後も多様性を優先するのかと質問があった」とし、「答えはイエスだ。われわれは引き続きこの二つを積極的に追求していく。なぜなら多様性ある能力主義という両方の要素が当社を特徴付け、100年近くにわたり当社を定義づけてきたからだ」と続けた。ブルームバーグが同文書を確認した。

マッキンゼーの対応は他の大手企業の一部とは対照的だ。ライバル企業のアクセンチュアや金融大手のゴールドマン・サックス・グループなどは、ここ数週間でDEIに関する方針の多くを撤回した。メタ・プラットフォームズ、アマゾン・ドット・コム、フォード・モーターなども、DEI関連の取り組みを廃止または縮小する計画を発表している。

アクセンチュアは多様性に関する目標を2017年に設定し、20年に更新したが、今後は従業員の業績評価にそれを適用しない。ジュリー・スウィート最高経営責任者(CEO)が従業員宛ての文書で述べたと、ブルームバーグ・ニュースが7日報じた。ゴールドマンは白人男性だけで取締役会を構成する企業とは新規株式公開(IPO)のビジネスはしないと表明してきたが、この方針を白紙に戻した。

1926年にシカゴで設立されたマッキンゼーは、世界65カ国余りで約4万人を雇用する。従業員の国籍は約140カ国にわたる。スターンフェルズ氏は多様性のある能力主義が「もともと当社の価値観を成していた」と述べ、ビジネススクールを卒業したばかりの未経験者や、法律や医療、工学のバックグラウンドを持つ人、女性コンサルタント、退役軍人など多くの人材を採用してきたと説明した。

同氏は「当社は100周年を迎えるに当たり、あらためて多様性と能力主義を誇りを持って推進する時が来た」とした。

原題:McKinsey Champions Diversity While Rivals Abandon Targets (2)(抜粋)

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