トランプ米政権が2国間貿易赤字とドルに対する口先介入に重きを置いていることは、米政府による通貨管理の伝統的アプローチを一変させると元財務省高官が指摘した。

米財務省で副次官補(国際金融担当)を務めたマーク・ソーベル氏はマイアミで開かれたトレードテックFX会議で、「基準となる戦略が放棄されようとしている。発言者次第で上下どちらの方向にもドルの価値を動かしたいという願望と、2国間の赤字に重きを置く新たな語彙(ごい)を耳にすることになると思う」と語った。

ワシントンでは何十年もの間、ドルの価値は主に金利や財政政策、そして国際的な資本フローが影響するマクロ経済の帰結としておおむね捉えられてきた。しかし、トランプ大統領は1期目と昨年の選挙遊説を通じて、ドルの水準についてはっきり物を言うことをためらわず、ドル高は国内製造業の競争力を弱めると主張した。

「トランプ氏のチームはマクロ的側面はなく、2国間の不均衡を重視しているようだ。為替市場に影響を与える目的で貿易という手段を用いる議論を耳にする」とソーベル氏は述べた。

ドルの特権的地位は衰えるかもしれないが、世界の準備通貨としての優位を当面維持する可能性が高いと同氏は予想。国際金融と貿易でドルの役割が損なわれるとすれば、かつて信頼を得ていた相手国との通商関係悪化など、米国の政策担当者自身の行動が原因になるだろうと見解を示した。

原題:Trump Team Throwing Dollar Playbook ‘Out the Window,’ Sobel Says(抜粋)

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