フォード・モーターのジム・ファーリー最高経営責任者(CEO)は12日にワシントンを訪問し、連邦議会議員らに対し、トランプ米大統領がカナダとメキシコに課す方針の25%の関税が、米国の自動車産業に「大きな打撃を与える」と警告する。

ファーリー氏は11日、ニューヨークで開催された米ウルフ・リサーチの自動車業界に関する会議に登場し、この関税の影響が、米国の自動車メーカーにとって「壊滅的」なものになると述べた。また、アジアや欧州の競合には、自国から輸入する自動車に同様の関税が課されないため、「思わぬ利益」をもたらすことになると述べた。トランプ氏は先週、カナダとメキシコに対するこの関税の発動を1カ月延期した。

ファーリー氏は「トランプ氏はこれまで、米国の自動車産業を強化し、生産を国内にもたらすことについて多くを語ってきた。だが今のところ、私たちが目にしているのは、多くのコストと多くの混乱だ」と強調した。

フォード・モーターのジム・ファーリー最高経営責任者(2017年)

コンサルタント会社アリックス・パートナーズによると、トランプ政権の新たな関税は、米国の自動車業界に600億ドルものコスト増をもたらす可能性がある。ファーリー氏は、米国の自動車業界の中で最も率直に発言するリーダーの一人だ。ウルフ・リサーチのアナリストは、関税で生じたコストの多くは消費者に転嫁される可能性が高く、新車の価格が約3000ドル上昇する可能性があると推定している。

ファーリー氏は「現実を直視しよう。長期的には、メキシコとカナダに25%の関税が課されれば、米国の業界はかつてないほどの打撃を受けるだろう」と呼びかけた。

ファ―リー氏は今週、連邦議会議員と面会し、関税の脅威について詳しく説明する予定だ。電気自動車(EV)とバッテリー工場の建設に連邦補助金を与える、バイデン前政権の代表的な環境規制であるインフレ抑制法の廃止についても警告する。フォードはテネシー、オハイオ、ミシガン、ケンタッキー各州に、EVとバッテリー工場を建設するため数十億ドル投資している。

一方、ゼネラル・モーターズ(GM)のメアリー・バーラCEOは同会議で、追加投資をせず、新たな関税の影響を30-50%「低減」できるとの考えを示した。トランプ大統領の就任に先立ち、GMは関税の影響を緩和する措置の検討に着手していたという。

「当社は打てる対策を把握している」とバーラ氏。関税が長引く場合に備えて、資本効率が高い手法で実行できる追加の措置もあると述べた。

原題:Ford’s CEO to Warn Lawmakers of ‘Devastating’ Tariff Impact (2)(抜粋)

(GMのバーラCEOの発言を追加して更新します。更新前の記事では1-3段落目の名前表記を「ファーリー氏」に訂正済みです)

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