(ブルームバーグ):通常、年初は欧州のバンカーたちがボーナス支給の知らせを不安な気持ちで待つ時期だ。しかし、2025年に入って数週間がたった今、一部のバンカーたちは職を失うのではないかという不安を抱き始めている。
ドイツ銀行のクリスティアン・ゼービング最高経営責任者(CEO)は30日、管理職を含む人員削減を検討していることを明らかにした。HSBCホールディングスのジョルジュ・エレデリーCEOは今週、欧州と米国の投資銀行業務の大きな部分を閉鎖すると発表した。

富裕層向け事業を中核とするスイスの銀行でも人員削減は避けられない。UBSグループは本国市場で数百人の人員削減を実施。ジュリアス・ベア・グループは今後2年にわたって一連の削減を発表する予定だ。
ゼービング氏は記者団に対し、25年は「清算の年」になるだろうと述べ、「何でもあり得る」と付け加えた。
こうした動きの背景には、低迷する収益を改善させることを迫られているという事情がある。トランプ新政権が米国で規制緩和という企業寄りのアプローチを取ることで、欧州の金融機関がウォール街のライバルに対して不利になる可能性があるため、この懸念は今後さらに深刻化するだろう。
さらに、欧州連合(EU)の成長が停滞していることも、欧州の金融機関の見通しを暗くする。
欧州と米国の銀行の対比は、既にかなり際立っている。今月、過去最高益を発表したJPモルガン・チェースのジェレミー・バーナム最高財務責任者(CFO)は、同行が生み出す余剰資本の使い道を考えるのがたいへんだったと、ぜいたくな悩みを語った。
ゴールドマン・サックス・グループのデービッド・ソロモンCEOは、ディールメーキングの復活に向けた同社の位置付けについて自信に満ちたメッセージを発した。
ダブリンを拠点とする金融業界アナリストで、シーポイント・インサイツ創業者のジョン・クローニン氏は現状について「世界金融危機以降、欧州の銀行が米国の同業者との競争で苦戦してきたことの結果だ」と指摘。
「どちらかと言えば、成長重視のトランプ政権が誕生したことを踏まえると、今後数年間で米国の大手5銀行は相対的に強くなるだろう」と述べた。

ドイツ銀のゼービング氏は30日、今後数年の間に経営陣や事業ライン全体が整理される可能性を示唆した。
ブルームバーグ・ニュースは今週、UBSがスイス国内で大規模な人員削減に着手し、ここ数週間に数百人の従業員に通知したと報じた。
人員削減は、2年前に緊急支援の一環として買収したかつてのライバル、クレディ・スイスとの統合の一環だ。UBSは買収以来既に達成した75億ドル(約1兆2000億円)に加えてさらに55億ドルのコスト削減を目指している。

ジュリアス・ベアの削減はさまざまな部門に及び、15人から成る経営陣も大幅に縮小されると、ブルームバーグ・ニュースが今週報じた。
ジュリアス・ベアは、破綻した不動産帝国シグナに関連した損失の後始末を終えようとしている。
最も劇的な組織改編が行われる見込みのHSBCでは、削減や再編が今から6月末にかけて展開される可能性が高い。
原題:Europe’s Banks Kick Off Sweeping Job Cuts in ‘Year of Reckoning’(抜粋)
--取材協力:Steven Arons.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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