トランプ氏をうまく“軌道修正”させるコミュニケーション
「トランプ氏にとって日本がどういう位置づけかをまず日本として把握しないといけない。貿易面から始まり、それを受け止めつつ安全保障面、外交面で日本が貢献するところをいつでも打ち返せるようにしていく」ことが必要だと髙橋氏は説く。
日本がトランプ政権と交渉するにあたっては、ソフトバンクの孫正義会長の例が参考になるかもしれない。1月21日に孫会長はトランプ大統領らと記者会見を行い、AI開発のための共同出資の新会社スターゲートに最大5000億ドル(約78兆円)を投資すると発表した。
「孫氏自身のアメリカでの留学生活のバックグラウンドもありながら、トランプ氏が望むアメリカファーストに全面的に乗っかり、アメリカへの貢献をうまく打ち出せているところは学べるのではないか」
「昨年12月に1000億ドルの対米投資を孫会長が発表すると、トランプ氏はその場で2000億ドルでどうだとジョークを言い、孫会長は今回、他社も巻き込みながら5000億ドルを提示した。孫会長の“アメリカ人”としての返し方、アピールはポジティブに受け止められていて、信頼性が醸成されている」
孫会長の手法は外交や安全保障に応用可能だろうか。
「100日以内にトランプ氏は訪中すると意欲を示していて、その前後で何らかの“火ぶた”が切って落とされ、台湾や北朝鮮の話も出てくるかもしれない。そのとき外交、安全保障および経済についてもう1回、日本の重要性をアピールすることも大事になってくるのではないか」
なかなか孫会長のようにはいかないと思うが、と前置きしつつ、髙橋氏は「メリットを説いてうまくトランプ氏を軌道修正させる」ようなコミュニケーションが肝要だと指摘するのだった。