自民・維新の両党は来年度の税制改正大綱を取りまとめました。「手取り増」を求める国民民主党に大幅に譲歩したほか、ガソリンの暫定税率廃止に伴う財源確保も不十分で、課題を残す形となりました。

今回の改正で最大の焦点となったのが『年収の壁』の引き上げです。すべての年収層を対象に、所得税の課税最低限を「178万円」まで引き上げることを明記。国民民主の譲歩した結果、6500億円規模の大幅な減税を余儀なくされました。

そのほかにも、▼車の購入時にかかる「環境性能割」の廃止、▼NISA「つみたて投資枠」の年齢制限撤廃、▼住宅ローン減税の延長と拡充など家計支援のための“減税メニュー”が多く並びました。

一方、今回の税制改正で課題となっているのが、▼ガソリン・軽油の暫定税率廃止に伴う1兆5000億円、▼教育無償化に必要な7000億円、合計2兆2000億円規模の財源の確保です。

財源確保策として大綱に盛り込まれたのは、▼大企業向けの「賃上げ促進税制」の廃止や、▼超富裕層への課税強化、▼教育資金の一括贈与にかかる非課税措置の廃止などです。

しかし、これらの増税や減税措置の廃止で確保できる財源は1兆2000億円程度、依然として1兆円ほど足りておらず、財源確保にも課題が残る税制改正となりました。