(ブルームバーグ):投資家の日本のインフレ期待を示す指標が過去最高に上昇している。日本銀行の利上げ継続を促す要因になる。
日銀の0.5%への追加利上げと物価見通しの上方修正を受けて、ブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)が27日、1.6%台に上昇した。BEIは新発10年国債から物価連動債の利回りを引いて算出したもので、物価連動債が発行され始めた2004年以降のブルームバーグのデータによると1.6%を超えたのは初。
金融市場のインフレ期待を示す代表的な指標であるBEIの上昇は、日銀が利上げを推し進めやすくなる要因となる。実質金利の低下を通じて為替相場に下落圧力を加えるため、その面からも日銀の利上げを促す。
野村証券の松沢中チーフ・ストラテジストは、海外の中央銀行に逆行して日銀は利上げしているが、日本の実質金利は依然マイナスで海外との差は縮小していないと語る。次の利上げまで半年程度時間が空くとの見方が強いため「円キャリートレードが再開する余地も大きい」と指摘、日銀は今後も円安を後追いする形で利上げを継続していくと予想している。
日銀は24日の金融政策決定会合で、昨年7月以来となる追加利上げを決定。会合後に公表した経済・物価情勢の展望(展望リポート)では、物価の基調を表すコアコア消費者物価指数(生鮮食品とエネルギーを除くCPI)の前年度比上昇率について24年度を2.0%から2.2%に、25年度を1.9%から2.1%に上方修正した。リスク要因として両年度とも「上振れリスクの方が大きい」と評価した。
植田和男総裁は24日の記者会見で、「コストプッシュであるが、物価が上がってるということで期待インフレ率を若干なりとも上げてしまう可能性がある」と述べた。
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