(ブルームバーグ):厚生労働省は27日、4月からの年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の次期中期計画案の骨子を公表した。社会課題の解決と収益性の両立を図る「インパクト投資」の実施を盛り込んだ。
GPIFでは年金積立金の運用で年金加入者の利益以外を追求してはいけない「他事考慮の禁止」といった制約がある。そのため、社会・環境的効果である「インパクト」を目的にした投資はできないとされてきたが、中長期的な投資収益の向上につながるとの観点から、他事考慮には当たらないとの方向性が厚労省から示されていた。
きょう開催された社会保障審議会資金運用部会で提示された骨子では、「市場平均収益率を確保しながら、被保険者の利益のために長期的な収益確保を図る観点から、投資先企業の事業内容がもたらす社会的・環境的効果(インパクト)を考慮して投資を行うことについて検討し、必要な取り組みを実施」と明記した。
そのほか、オルタナティブ投資について、「超過収益を獲得する観点から行うもの」と位置付けた。予見しがたい事由による年金給付の一時的な資金不足への対応を想定し、短期の借入金限度額を4兆円に倍増することも盛り込んだ。
GPIFの運用については、厚労省が次期中計(2025年度-29年度)の運用目標を設定し、それを基にGPIFが資産運用の大枠である基本ポートフォリオを策定する。同省は昨年12月、実質的な運用利回りの目標を現状の1.7%から0.2ポイント高い1.9%とする案を示している。
厚労省によると、次回の部会で運用利回りの目標案について、その後の部会で基本ポートフォリオを盛り込んだ計画案を諮問、答申する予定だ。
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