1.コアCPI上昇率は前月から0.3ポイント拡大の3.0%

総務省が1月24日に公表した消費者物価指数によると、24年12月の消費者物価(全国、生鮮食品を除く総合、以下コアCPI)は前年比3.0%(11月:同2.7%)となり、上昇率は前月から0.3ポイント拡大した。事前の市場予想(QUICK集計:3.0%、ニッセイ基礎研究所予想も3.0%)通りの結果であった。

「酷暑乗り切り緊急支援」が終了し、電気・都市ガス代の上昇率が拡大したこと、食料(生鮮食品を除く)の伸びが高まったことが押し上げ要因となり、コアCPI上昇率は23年8月(3.1%)以来、1年4ヵ月ぶりの3%台となった。

生鮮食品及びエネルギーを除く総合(コアコアCPI)は前年比2.4%(11月:同2.4%)、総合は前年比3.6%(11月:同3.0%)であった。

24年12月分と同時に公表された24年の消費者物価は総合が前年比2.7%(23年は3.2%)、生鮮食品を除く総合が同2.5%(23年は3.1%)となった。いずれも3年連続で日本銀行が物価安定の目標とする2%を上回った。

コアCPIの内訳をみると、ガソリン(11月:前年比1.0%→12月:同0.7%)、灯油(11月:前年比2.0%→12月:同1.8%)の上昇率は若干鈍化したが、「酷暑乗り切り緊急支援」の終了に伴い、電気代(11月:前年比9.9%→12月:同18.7%)、ガス代(11月:前年比5.6%→12月:同7.8%)の上昇率が拡大したことから、エネルギー価格の上昇率は11月の前年比6.0%からの同10.1%へ拡大した。

食料(生鮮食品を除く)は前年比4.4%(11月:同4.2%)と上昇率が前月から0.2ポイント拡大した。食料(生鮮食品を除く)は23年8月の前年比9.2%をピークに鈍化傾向が続いていたが、24年7月の前年比2.6%を底に5ヵ月連続で上昇率が高まった。米類の高い伸びが続いた(11月:前年比63.9%→12月:同64.5%)ことに加え、円安に伴う輸入物価の上昇が消費者物価に波及している。

内訳をみると、米類のほかに、ケチャップ(前年比14.2%)、チョコレート(同30.6%)、調理パスタ(同11.1%)、果実ジュース(同23.0%)などが前年比で二桁の高い伸びを続ける一方、前年の上昇率が高かった裏が出ることで、卵(同▲5.7%)、食用油(同▲2.2%)、調理カレー(同▲3.3%)など、下落する品目も増えており、食料の価格にはばらつきが見られる。

サービスは前年比1.6%(11月:同1.5%)と上昇率は前月から0.1ポイント拡大した。タクシー代(11月:前年比2.8%→12月:同0.5%)、宿泊料(11月:前年比8.0%→12月:同5.2%)の伸びは鈍化したが、外食(11月:前年比2.4%→12月:同2.8%)、携帯電話通信料(11月:前年比▲0.2%→12月:同3.2%)の上昇率が高まった。

コアCPI上昇率を寄与度分解すると、エネルギーが0.80%(11月:0.47%)、食料(除く生鮮食品・外食)が0.95%(11月:0.90%)、その他財が0.47%(11月:0.59%)、サービスが0.78%(11月:0.73%)であった。