(ブルームバーグ):ユーロ圏の民間部門の経済活動が、3カ月ぶりに縮小を脱した。苦境の続く製造業にもわずかな改善の兆しが見られ、アナリストらを驚かせた。
S&Pグローバルが24日に発表した1月のユーロ圏HCOB総合購買担当者指数(PMI)速報値は50.2に上昇し、活動拡大と縮小の境目である50をわずかに上回った。アナリストの予想は49.7。前月は49.6だった。
製造業は46.1と深い縮小の水準にとどまったが、やや改善した。明るい材料は引き続きサービス業で、51.4だった。
HCOB(ハンブルク商業銀行)のチーフエコノミスト、サイラス・デラルビア氏は24日、「新年のスタートは、やや前向きな内容だ。民間部門は慎重ながらも成長のモードに戻った」と発表文で指摘。「ユーロ圏経済の改善には、総合指数が拡大領域を回復したドイツが大きな役割を果たした」と続けた。
PMI発表後、ユーロはドルに対する上げを続け、約0.8%高の1.0493ドル前後で取引されている。短期金融市場では欧州中央銀行(ECB)の利下げ見通しが後退し、年内に見込まれる利下げ幅は90ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)前後となった。今週前半には100bpが織り込まれていた。
今回の改善にもかかわらず、ユーロ圏経済の本格的な回復にはまだ距離がありそうだ。域内最大の経済国で、2年連続でマイナス成長に陥ったドイツの見通しはまだ低調でしかない。フランス緊縮財政と政治不安に苦しんでいる。
ドイツは来月の総選挙で好転し、インフラ投資が活発化するとの期待がある。ただ、短期的には最近の停滞が続くだろうと独連邦銀行は予測。同国の1月の総合PMIは50をわずかに上回る水準だった。
ドイツ政府は今年の経済成長率予想を従来の1.1%から0.3%に引き下げたと、独紙ハンデルスブラットが24日報道。来年についても、1.6%から1%をやや上回る程度に下方修正したという。
原題:Euro Zone’s Private Sector Unexpectedly Returns to Growth(抜粋)
(第5段落にユーロ相場を挿入し、最終段落にハンデルスブラットの報道を追加します)
--取材協力:Mark Evans、Joel Rinneby.
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