デンマークの対応は

デンマークのフレデリクセン首相は15日、トランプ氏とおよそ45分間にわたって電話会談し、“グリーンランドの買収には応じられないこと”を直接、伝えました。

プレデリクセン首相 Xより
「北極圏の安全保障に対してデンマークは多大な責任を負う用意があります。グリーンランドは売り物ではなく、独立を決める権利があるのはグリーンランドです」

デンマークのフレデリクセン首相

フレデリクセン首相はさらに、翌16日の会見で、トランプ氏は、デンマークがアメリカによる所有に合意しなければ、デンマークからの輸入品の関税を引き上げるという主張を変えなかったことを明らかにし、「事態は深刻だ」と懸念を示しました。

フレデリクセン首相(16日)
「アメリカとの貿易上の対立を望んではいません」
「われわれは深刻な状況にあります」

一方、トランプ氏は大統領に20日の就任後記者団に対し、デンマークの協力を得られるだろうとの考えを示しました。

トランプ大統領(20日)
「デンマークは(グリーンランドを)維持するのに莫大な費用をかけているのだから、協力してくれるだろう」
「ロシアや中国の船がそこら中に浮かんでいる。彼ら(デンマーク)には維持できないだろう」

グリーンランドの対応は

デンマークとは違う事情が、グリーンランドにはあります。

エーエデ首相はトランプ大統領就任の翌日、21日の記者会見で、「アメリカ人にはなりたくない」と強調しました。

エーエデ首相(21日)
「我々はグリーンランド人です。アメリカ人になりたいとは思っていません。デンマーク人にもなりたくありません。グリーンランドの未来はグリーンランドが決めます」

グリーンランド・エーエデ首相

グリーンランドでは300年余り続いてきたデンマークによる支配からの独立の機運が高まっています。

ただ、グリーンランドは、デンマーク政府からの多額の補助金に依存しており、独立には経済的に自立していくことが必要です。

ジェイコブソン氏は、グリーンランド政府は、トランプ氏の所有権主張を「ある種の機会」ととらえているといいます。

マーク・ジェイコブソン准教授
「グリーンランドは売り物ではないのは確かだが、ビジネスには門戸を開いています。鉱業、観光の潜在能力はどうか。国際政治での存在感を高めるために、戦略的に活用しようとしているのです。これは最終的には国家になるというビジョンにとっては重要なことです」

実際、グリーンランドは去年2月、新たな外交・防衛・安全保障戦略を発表し、その中で、アメリカとのビジネス強化を示しています。

ただし、あくまで独立が前提であり、アメリカの「所有物」になることをグリーンランドの人たちは望んでいない、とジェイコブソン氏は指摘します。

マーク・ジェイコブソン准教授
「グリーンランド人の大多数の目標は、独立国家になることです。そのためには鉱業や観光など新たな投資が必要です。グリーンランドの戦略は、アメリカとの関係を強化すること、そして世界中の他の国々へも多様化することだと思う」

マーク・ジェイコブソン准教授

トランプ大統領の真の狙いはどこにあるのか。今後も駆け引きが続きそうです。

担当:ロンドン支局 岡村佐枝子、城島未来