(ブルームバーグ):トランプ大統領の就任式が過ぎた今週、ドル・円オプションのトレーダーは日本銀行の利上げが予想される24日を前に、戦略を変更している。
今週に入る前は、日銀の利上げへの観測が高まる中で、投資家の間ではドル・円相場がさらに下落した場合に価値が高まるプットオプションを買う傾向が見られた。しかし、この観測がほぼ完全に織り込まれたため、投資家の関心は政策決定後に為替レートが狭いレンジで推移する可能性へと移っている。
ドル・円のインプライドボラティリティー(予想変動率、IV)はここ数日、著しく低下し、大きな変動が予想されていないことを示している。23日には6日続落して昨年7月以来の低水準となった。
ノムラ・シンガポールのシニアFXスポットトレーダー、グラハム・スモールショー氏によると、トランプ米大統領の就任以降、ボラティリティーの売りがテーマになっている。
「大統領の就任前は、オプション市場の顧客は主にクロス・円とドル・円の下落を見込んだ取引をしていた。主として、トランプ大統領の関税賦課で市場がリスクオフの状態になる可能性に備えるためのものだった」と同氏は説明。同時期に、日銀が今週利上げを行うという見方が強まっていったと指摘した。
今後1カ月のドル・円の下落に対するヘッジのプレミアムは、上昇に対するプレミアムより大きく低下しており、ドル・円が短期的にさらに下落する可能性は低いとの見方を示唆している。
日銀当局者からの先週のタカ派的な発言を受けて、スワップ市場は24日の0.25ポイント利上げをほぼ確実視している。利上げ想定が織り込まれたことで、ドル・円の下落傾向は止まった。今週に入ってからは、50日移動平均付近のサポートラインを突破できていない。
ハト派的な利上げ
利上げを理由にドル・円相場がさらに下落すると見込んでいた投資家にとっては、期待外れに終わるかもしれない。
シンガポールのオーバーシー・チャイニーズ銀行のFXストラテジスト、クリストファー・ウォン氏は「市場にとってのリスクは、ハト派的な利上げだ。ドル・円相場の下落がより抑制されることにつながる可能性があるからだ」と、リポートで分析した。
原題:Dollar-Yen Options Traders Flip Strategy Going Into BOJ Decision(抜粋)
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