日本銀行が今月開く金融政策決定会合では、変動が大きい生鮮食品とエネルギーを除いた消費者物価(コアコアCPI)について、2024年度と25年度の見通しが上方修正となる公算が大きい。利上げの是非は直前まで見極める方針だ。事情に詳しい複数の関係者への取材で分かった。

23、24日に開く会合では、経済・物価情勢の展望(展望リポート)について議論し、最新の見通しを示す。関係者によると、コアコアCPI見通しの引き上げは、コメを中心とした食料品価格の上振れが主因。円安の進行や原油価格の上昇も押し上げ要因になる。賃金コストを価格に転嫁する動きも想定通り強まっているという。

前回の見通しにおけるコアコアCPIは、24年度が前年比2.0%上昇、25年度が1.9%上昇、26年度が2.1%上昇だった。関係者によると、経済・物価情勢は日銀の見通しに沿って推移していると日銀は引き続き判断している。新たな展望リポートでは、生鮮食品を除く消費者物価(コアCPI)とコアコアCPIともに、見通し期間の26年度にかけて2%程度で推移する姿が維持される可能性が大きい。

植田和男総裁は、経済・物価情勢の改善が続けば、利上げによって金融緩和度合いを調整すると繰り返している。物価見通しの上振れや経済・物価が見通しに沿って推移することは、追加利上げの根拠になり得る。 市場では日銀が今月会合で追加利上げの是非を議論すると広く予想されている。

報道後、外国為替市場では円を買う動きが優勢となり、ドルに対し一時1ドル=157円76銭まで上昇した。報道前は158円30銭台で推移していた。

もっとも、総裁は利上げを見送った昨年12月会合後の会見で、今年の春闘など賃上げの動向と20日に始動するトランプ米政権の経済政策の影響などを注視していく考えを表明している。今月の会合では市場動向などを直前まで見極めた上で、利上げが必要な情勢かを慎重に判断する見通しだ。

日銀は、展望リポートの物価見通しを従来からコアCPIで示しているが、地政学リスクの高まりやコロナ禍でのエネルギー価格の変動などを踏まえ、より物価の基調的な動きを捉えるためにコアコアCPIを参考として22年から公表している。

コアCPIに関しては、政府による電気・ガス料金の負担軽減策が来年1-3月に再開されることが24年度の下振れ、反動による25年度の上振れ要因となるが、物価の基調的な動きには影響しない。前回見通しでは、24年度が2.5%上昇、25年度と26年度が1.9%上昇だった。

(円相場の動きを追加して更新しました)

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