個別銘柄は売り越し

次に個人の日本株式の売買を、NISA口座から信用取引ができないため現金取引で見ると、11月までの月間で買い越されたのは4月のみであった。
2024年に入ってからの売り越しの累計額は、6月までだと3.2兆円、さらに11月までだと5.6兆円に膨らんでいる。

ただし、2024年が非常に売られやすい投資環境だったため、NISA口座からの買付が増えたことによって、これくらいの売り越しで収まったと見ることもできる。

そこで、一般NISAが始まった2014年からの日経平均株価の月間騰落率と個人の現金での株式売買の関係を見た。
日経平均株価が上昇すると売り越され、下落すると買い越される逆張り投資の傾向があるが、2024年も2014年から2023年と同じような傾向になっていた。
つまり、過去10年と比べて買付が増えている様子は見られなかった。

投資信託は外国株式選好

このように、新NISAの買付に伴う日本株式への個人の資金流入が限定的であった直接的な理由は、3つ考えられる。

まず1つめの理由として、NISA口座から投資信託の買付けは大部分が外国株式であったことである。

組入れている資産別に新NISA対象の投資信託の設定額をみると、外国株式が日本株式以上に急増している。
証券会社10社のNISA口座からの買付上位10本の投資信託の傾向を見ても、投資枠によらず外国株式ものが中心に買付けられていることが分かる。