個人の資金が新NISAによって日本株式に流入することが、一部で期待されていた。
2024年は日経平均株価やTOPIXが史上最高値を更新するなど大きく上昇したが、実際に個人の資金が日本株式に流入したのか検証した。
新NISAから日本株式への流入は?
2024年の日本株式は年初から上昇し、7月上旬に日経平均株価、TOPIXが史上最高値を約更新した。
その後は方向感の乏しい展開となっているが、日経平均株価、TOPIXともに年初来の上昇率が15%以上で推移しており、高値を維持し年末を迎えそうである。
2024年は、少額投資非課税制度(NISA)が新NISAとして、大幅に制度拡充されて生まれ変わった。
年間の投資枠が、これまでと比べて倍以上に増えた。それに伴って、NISA口座からの買付が投資信託、上場株式ともに大幅に増えている。
この新NISAからの買付が日本株式を押し上げたようにも見えるが、投信市場や日本株式市場を見ると、2024年に入ってから個人の資金が日本株式に向かう動きは限定的であった。
投資信託経由は増えているが限定的
まず、主に日本株式で運用している新NISA対象の投資信託の売買動向を見ると、2024年もそれ以前と同様に株価の変動に合わせて売買される傾向があった。
インデックス型を中心に日本株式が上昇すると売却が膨らみ、下落すると買付が膨らんでおり、買付が顕著に増えている様子は見られなかった。
ただし、一部で変化の兆しが見られた。多少は、新NISAによって買付が増えている可能性もありそうである。
例えば2024年は設定額が、指数に連動するいわゆるインデックス型だと1,500億円、全体だと3,000億円を上回り続けている。2023年以前は、インデックス型だと1,000億円未満、全体だと2,000億円を下回っている月があった。
買付が少ない月の水準が、2024年に入ってから切りあがっている。
また、2024年は利益確定売りが出やすい環境であり、以前なら売却超過に陥ってもおかしくなかったが、11月までで1.2兆円買い越されている。
特に1月から3月は、日本株式が大きく上昇した割に買付が多かった。