暗号資産(仮想通貨)ビットコインを保有する世界初の上場投資信託(ETF)が、活況から取り残されそうになっている。

世界初のビットコインETFは2021年2月にカナダでスタートし、国内外の投資家から数十億ドルの資金を集めた。だが今年初めに米国のビットコインETFが承認されると、一部投資家が保有を見直すようになった。

TDセキュリティーズの13日時点のデータによれば、カナダのビットコインETFは今年、5億7800万カナダドル(約620億円)の純流出を記録。仮想通貨ETFは、カナダで今年唯一の資金流出となったETFカテゴリーだ。

これに対し米国のビットコインETFは16日までに過去最高の360億米ドル(約5兆5000億円)の流入となっている。ビットコインは今年、150%余り上昇している。

世界初のビットコインETFを運用するパーパス・インベストメンツの運用部門責任者ブラッド・タセフスキ氏によると、カナダのビットコインETFに投資していた一部の米投資家が自国の商品に乗り換えている。

同氏は「米国および世界的な大手投資家は、他のエクスポージャーの大半を米市場で取っているため、今は米国のETFの利用を好んでいる。もっとも、結局は米国が世界最大の資本市場で流動性の大部分はそこにあり、予想されたことだ」と話した。

タセフスキ氏によれば、同社の「パーパス・ビットコインETF」は今年、国外投資家から資金が流出している一方、カナダの投資家の資金はわずかながら純増となっている。

米国のビットコインETFへの乗り換えを検討する投資家にとっては、運用管理費の低さが魅力の一つとなる。

ナショナル・バンクのアナリスト、ティファニー・チャン氏は「カナダの投資家が米国のビットコイン現物およびイーサリアム現物ETFを選好する最も重要な理由は、手数料と流動性だ」と指摘。「使用する指数のわずかな違いや運用管理費が、ETFのリターンを引き下げる最大の要因になる」と語る。

同氏はETFの開始時期が管理費用の違いにつながっているとみている。21年にカナダのビットコインETFが投入された際は、ビットコインはアクセスしにくい資産クラスだったが、その後投資しやすくなり競争も激化する中で、今年初め、手数料を低く抑えた米国ETFが登場した。

それ以降、一部のカナダETFは手数料を引き下げたものの、米ETFの方が取引量が多く費用引き下げが容易となっている。

原題:Bitcoin Rally Leaves the World’s Original Crypto ETFs Behind(抜粋)

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