「観光」で稼いだ外貨は「デジタル」で流出

みずほ銀行 唐鎌大輔 チーフマーケット・エコノミスト:
日本は「経常黒字国」なので、入ってくる外貨の方が、出ていく外貨より多いはずなんです。つまり教科書的には通貨安に悩まされることは無いはずなんですよ。

でも現実に起きたことは日本円が対ドルで30%下落したり、「悪い円安」という言葉が流行語大賞の候補になったりしました。

では何が起きているのか?

日本はこの10年で、「デジタル赤字」が倍くらいになっている。

この「デジタル赤字」というのは、海外のクラウドサービスやソフトウェアに課金したもの等が入っています。

結局、日本が稼いでいる外貨はインバウンドや観光産業なのですが、一方で、外貨が流出しているのは「デジタル関連」が中心です。

観光産業は「労働集約的」なのに対し、「資本集約的」です。

「労働集約的」な戦略で外貨を稼ぎ続けるには人が増えていないといけない。でも、日本は人が減っているんですよ。

観光産業も宿泊・飲食産業は一番、人が足りない産業として知られています。

なので観光で稼ぎ続けるというモデルは、デジタルで出ていく外貨は稼ぎきれないんですよ。

何故ならデジタルの値上げは毎年、来ているし、デジタル産業で働いている人の給与は毎年、引き上げられているので。