(ブルームバーグ):フランスの高級ブランド、エルメスの創業者一族らのファミリーオフィスが、仏保険会社アルバンジア買収を目指す投資家の一角に名を連ねている。高級品から資産を分散させる目標をうかがわせる投資だ。
11日の発表資料によると、ファミリーオフィスのクレーフェルト・インベストは、資産運用会社ユーラゼオからアルバンジアの買収に向けて独占交渉中の投資家グループに加わっている。投資家グループは、既存株主のシャモワン家が主導し、カナダの保険会社フェアファックス・ファイナンシャル・ホールディングスも参加している。
ユーラゼオの発表によれば、保有するアルバンジアの持ち分70%を全て売却し、約2億8900万ユーロ(約460億円)の売却収入をバランスシートに計上する見通し。
エルメス一族の財産は、高級ハンドバッグ「バーキン」で知られるエルメス・インターナショナル社から生じているもので、ブルームバーグ・ビリオネア指数によると、同一族の資産は推定約1710億ドル(約26兆円)。
創業者ティエリー・エルメスの生まれ故郷であるドイツ西部の村の名を冠したクレーフェルトは、広大な一族の各分家の相続人によって設立された八つのエルメス・ファミリーオフィスと投資ビークルを1組織に統合したもので、出資者の個人資産の運用を任されている。
2022年の設立以来、クレーフェルトは業務内容や経営陣、戦略について秘密主義を貫いてきた。アルバンジアへの投資は、クレーフェルトにとって初めて公表された投資案件の一つで、資産の多様化を目指す姿勢を示唆している。
アルバンジアは仏商業保険市場における独立系企業で、昨年の保険料収入は約3億3400万ユーロ。ユーラゼオは6年前に、約5億800万ユーロの企業価値を基に株式を取得した。
今回のディールは、関係当局の承認を条件としており、25年春に完了する予定。
原題:Hermes Family in Talks to Invest in French Insurer Albingia(抜粋)
--取材協力:Devon Pendleton.
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