5日午後の債券相場は先物が一時上昇に転換。この日実施された30年国債入札を無難に通過したことで、安心感から買い戻しが入っている。前日に日本銀行の12月利上げ観測の後退で相場が急騰した反動の売りもあり、上値は重い。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券の大塚崇広シニア債券ストラテジストは、30年債入札は最低落札価格、応札倍率、テール(平均落札価格と最低落札価格の差)のどれをとっても無難な結果だったと指摘。「12月の利上げ期待が後退する一方、2025年1月の利上げ期待は残っている」とし、「超長期債は中短期債ほど利上げに影響を受けないことも買いやすさにつながった」と話した。

30年債の入札結果によると、最低落札価格は96円55銭と市場予想と一致。小さいと好調を示すテールは12銭と前回15銭から縮小した。投資家需要の強弱を反映する応札倍率は3.46倍と前回の3.44倍を若干上回った。

日銀の中村豊明審議委員は5日の講演で、「私としては、まだ賃上げの持続性に自信を持てていない」と述べ、金融政策の緩和度合いを慎重に調整する考えを示した。

三菱UFJアセットマネジメントの小口正之エグゼクティブ・ファンドマネジャーは、市場の12月の利上げ織り込みが6割台から3割台まで大幅に剝落したことには「行き過ぎ感もある」との見方を示していた。

 

--取材協力:日高正裕.

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