りそなホールディングス(HD)は中小企業向けのスマホアプリをグループ外の地方銀行に提供する計画だ。提供先金融機関がりそなのアプリをそれぞれの取引先に売り込むことで、中小企業の業務効率化を支援する。

南昌宏社長がブルームバーグのインタビューで明らかにした。同氏は法人向けのアプリを各地域の地銀に提供することで「顧客基盤の広がりとトランザクションの増加がネットワーク効果のようになっていく」と述べた。

りそなHDは自社のサービスを地銀などに提供して収益化することに加えて、利用件数の増加が質の向上や影響力強化につながると考えている。同社は「金融デジタルプラットフォーム」を掲げ地銀との連携を進めているが、商品提供だけにとどめるか、資本まで入れるかなどの深度は地銀のニーズに合わせて決めている。

りそな銀行の店舗(2020年11月、都内)

国内では企業数の9割以上が中小企業で、デジタル化による生産性の向上が課題だ。特に地方では日々の経費支払いなどでの脱現金化という点で改善の余地が大きい。近年、銀行はこうした企業向けのデジタル化サービスに力を入れており、顧客囲い込み競争が激しくなっている。

りそなHDの法人向けアプリでは残高照会や送金などの基本機能に加え、納税や資金繰りサポートの収支分析も可能。一部の顧客は来店不要の融資も受けることができる。まずは自社顧客の反応を見ながら他行への展開時期を検討する。同アプリの提供は2023年10月に始まり、これまでに約1万社が導入した。

南氏は現金自動預払機(ATM)に並ぶ人の「かなりの部分が法人の方だ。決済をまだATMでやっている。こうした方の利便性向上は合理化につながり、新しい価値になる」と述べた。

さらに、地銀向けにアプリに加えて人工知能(AI)を活用した業務効率改善ソフトウエアの提供も年内に開始する方針だ。地銀が顧客データをアップロードすると、それぞれの顧客に適したサービスの契約しやすさをAIが予測し数値化する。上位の顧客から優先的に商品を売り込むことで、営業の電話やダイレクトメールの数を減らす省力化につながる。

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