就任5年目を迎えた日産自動車の内田誠社長は株価パフォーマンスが歴代トップで最悪の部類に入る。

日産の内田社長

2019年12月1日の内田社長就任から11月末までで日産株は47%下落した。ブルームバーグのデータでさかのぼれる、少なくとも1974年以降の歴代社長で最も悪い。この間上昇した東証株価指数(TOPIX)との比較では100ポイント超の差がある。前任の西川廣人前社長は37%下落。仏ルノー出身で日産を建て直したカルロス・ ゴーン氏は98%上昇で、後任2社長との明暗が分かれた。

下落する日産株に対して11月に内外アクティビストの取得が表面化した。ファンドが攻勢を仕掛ける日本企業の中でも同時期に明らかになるケースは珍しい。昨秋に出資比率を下げたルノーの代わりに株主として登場した格好だ。株価純資産倍率(PBR)や株価収益率(PER)は底値圏を示唆するが、収益回復を迫られると同時にアクティビストの要求にどう対応するかに株価の行方が左右される。

「経営陣は多くのミスを犯してきた」と英調査会社ペラム・スミザーズ・アソシエイツのアナリスト、ジュリー・ブート氏は日産について述べた。時代遅れのラインアップ、米国での魅力的なハイブリッド車の不足、新型車の開発遅れが苦戦の核心だとしている。その上で「アクティビストが本当に事業を好転させたいのであれば、最初に行うべきことは経営陣の刷新だろう」と語った。

財務

日産の広報担当はコメントを控えている。日産を巡っては11月末に、野村証券アナリストの木下壽英氏が競争力で劣勢が続くとして投資判断を「買い」から「中立」に、ムーディーズ・ジャパンは格付け見通しを「安定的」から「ネガティブ」に下げた。日産は収益に加えて財務面でも大幅な改善を迫られている。

 

日産の最高財務責任者(CFO)スティーブン・マー氏が近く退任する見通しであることが11月末に分かった。事情に詳しい関係者が匿名を条件に明らかにした。

信用リスクを示すクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)で日産は2日、信用格付けの見通しが相次ぎ下方修正されたことを受けて2年超ぶりの高水準に拡大した。2日の株式市場では東証株価指数(TOPIX)が前週末比で1.3%上昇と大幅高だったが、日産株終値は1.5円(0.4%)高の360.4円とほぼ変わらずだった。

 

(末尾に日産のCDSと株価などを追加、写真を差し替えて更新します)

--取材協力:高橋ニコラス.

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