仏高級品メーカー大手ケリングは、バレンシアガの最高経営責任者(CEO)であるセドリック・シャルビ氏をイヴ・サンローランのCEOに起用することを検討している。事情に詳しい関係者の話で分かった。

公に話す権限がないことを理由に関係者が匿名を条件に語ったところでは、発表は今週にも行われる可能性がある。シャルビ氏は2016年からバレンシアガを率い、スニーカーの成功による成長期に同ブランドを統括。しかし、2年前に物議を醸す広告キャンペーンの影響で売り上げが落ち込んだ。

同氏は23年にケリングのグループ副CEOに指名されたフランチェスカ・ベレッティーニ氏からイヴ・サンローランCEO職を引き継ぐ。この異動でベレッティーニ氏(54)はグループ副CEOとしての役割であるブランド開発により集中できるようになるだろうと、関係者は述べた。

シャルビ氏とケリングに16日の通常の営業時間外にコメントを求めたが、すぐに返答はなかった。

業績不振のケリングは最近、ステファノ・カンティーノ氏をグッチのCEOに起用するなど経営陣の入れ替えを行っている。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトン元幹部である同氏は、来年1月からグッチの立て直しに取り組むことになる。グッチはケリングの利益に最も大きく貢献しているブランド。

パリ証券取引所に上場しているケリングは、業績不振で年初から株価が40%余り下落。先月には通期の利益が16年以来の低水準に落ち込むとの見通しを明らかにした。

ケリングの昨年の売上高トップブランドは、グッチ、イヴ・サンローラン、バレンシアガ、ボッテガ・ヴェネタの順だった。

バレンシアガは2年前、広告キャンペーンで子供を性対象にしていると消費者に批判されて謝罪。その後の数四半期の売り上げに響いた。こうした問題にもかかわらず、ケリングのフランソワ・アンリ・ピノーCEOはシャルビ氏と、バレンシアガのクリエイティブディレクターであるデザイナーのデムナ氏を留任させた。

イヴ・サンローランに加わることで、シャルビ氏(47)はデザイナーのアンソニー・ヴァカレロ氏と協力することになる。

ケリングの不振で支配株主であるピノー家の資産は目減りしている。ブルームバーグ・ビリオネア指数によると、同一族の資産は今年、142億ドル(約2兆1960億円)減少し、15日時点で212億ドルとなっている。

原題:Kering’s Balenciaga CEO Charbit Set to Lead Yves Saint Laurent(抜粋)

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