(ブルームバーグ):配車サービスの米ウーバー・テクノロジーズは、最大市場の一つであるニューヨーク市での乗車料金引き下げを模索する中、ドライバーへの1マイル当たりの報酬減額を要請した。
4日に当局に提出された書簡によると、ドライバーの最低賃金を定めるニューヨーク市のタクシー・リムジン委員会(TLC)に対し、ドライバーへの1マイル当たりの報酬額を1.277ドルと、現行の1.360ドルから6.1%引き下げるよう要請。ガソリン価格の下落が理由という。ブルームバーグ・ニュースがこの書簡を確認した。
また、現行規則の下で毎年3月に予定されているインフレ関連の調整についても、今後は上限を3%か消費者物価指数(CPI)に反映された平均レートのいずれか低い方に設定するよう求めた。
TLCはドライバーの最低賃金規定を変更する準備を進めており、これがニューヨーク市における乗車料金や事業運営コストに影響を及ぼす可能性がある。
ウーバーのダラ・コスロシャヒ最高経営責任者(CEO)は先週、7-9月(第3四半期)の決算発表で、主力の米ライドシェア事業が低迷していると指摘。保険料上昇に伴うコストを料金に転嫁した結果、一部の消費者が乗車頻度を減らしていると説明した。

同社の上級顧問、ニコラス・ダボリ氏は書簡で、乗車料金の伸びがインフレ率を上回らず、乗客が引き続き利用可能な状況を確保するためにドライバーへの1マイル当たりの報酬額の引き下げが必要だと指摘した。
これにより乗車料金が平均で約0.42ドル安くなると同社は予想。料金の下落で乗客の需要が喚起され、報酬減額がドライバーの収入全体に与える影響が相殺されるとした。
ウーバーは、経費を差し引いたドライバーの純収入を決めるもう一つの重要な要素である1分当たりの報酬額0.583ドルについては変更を求めなかった。
TLCのデビッド・ドゥ委員長は電子メールでの声明で、ウーバーの要請を検討していると説明。ドゥ氏は9月の公聴会で、ウーバーやリフトが今夏に最低賃金規制に対抗するため、需要の低い時間帯にニューヨーク市のドライバーを自社アプリから締め出したことを受け、ドライバーの収入を守り、抜け穴をふさぐ追加ルールを年内に発表する準備を進めていると明らかにしていた。

ドゥ氏は声明で、TLCはルール改正に関して複数の利害関係者から「幅広い」提案を受け取っていると指摘。「TLCの権限を最大限に活用し、従来の抜け穴をふさぐ公正なルール導入を目指している」とコメントした。
全米自動車協会(AAA)のデータによると、ガソリン価格は4月以降、全国的に下落しており、2022年6月のピークから約38%下げている。
原題:Uber Proposes Cut to NYC Driver Base Pay on Lower Gas Prices (2)(抜粋)
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