(ブルームバーグ):「アイオワをなめるなよ」ーアイオワ州下院の民主党指導者ジェニファー・コンフルスト氏は、同州ウォーキーの党本部に集まったハリス副大統領の支持者らを前に、Tシャツの胸に書かれた言葉を叫んだ。
同氏は3日、政治的な直感が先見の明であることが証明されたとして、最新の世論調査を指摘。かつてアイオワ州で2度にわたって楽勝したドナルド・トランプ氏が、今回はハリス氏に負けていることを示す衝撃的な調査結果だ。
「皆さん、アイオワの世論調査に奮起していますか」とコンフルスト氏(50)は数十人の支持者らに呼び掛け、歓声を浴びた。

全米でその信頼性が高く評価されている世論調査の専門家J・アン・セルザー氏の調査をデモイン・レジスター紙とメディアコム・アイオワ・ポールが共同でまとめた結果、ハリス氏の支持率は47%と、トランプ氏の44%を3ポイント上回った。他の世論調査が出した最近の結果ではトランプ氏が大きくリードしており、トランプ氏と共和党はセルザー氏の調査結果を異常値だとして批判している。
セルザー氏は4日、「ハリス氏がトランプ氏を飛び越えてリードするとは誰も想像していなかっただろう」とブルームバーグ・テレビジョンで衝撃を語った。
コンフルスト氏をはじめ数々のキャンペーンで活動するアイオワ州の民主党員らにとって、世論調査の結果はこれまで信じてきたことを裏付けた。妊娠6週目以降の中絶禁止や学校バウチャー制度、教育への特別支援を提供する機関の制度変更などで、同州では共和党への支持が変動している。
「怒れる女性を甘く見るな!」とコンフルスト氏はウォーキーで開かれたリプロダクティブ・ライツ(性と生殖に関する権利)に焦点を絞った集会で声を上げた。
セルザー氏の世論調査では実際、年齢の高い女性や政治的に独立派の女性が選挙戦終盤にハリス氏や他の民主党候補への支持を押し上げている状況が示されている。
同州では共和党の現職下院議員マリアネット・ミラーミークス、ザック・ナン両氏も窮地に追い込まれた。下院では民主党の議席純増を4議席未満に抑えない限り、共和党は過半数を維持できない。
しかしこの世論調査が生み出した熱狂とは裏腹に、民主党ではハリス陣営によるアイオワ州軽視に関連した後悔の念も浮上している。
アイオワ州下院議員選挙に出馬したティアラ・メイズシムズ候補は、ハリス陣営によるアイオワ州への投資は「ゼロだ」と語る。
広告枠購入状況を追跡するアドインパクトによると、レーバーデーの祝日より後にアイオワ州で展開した大統領選関連広告は極めて小規模にとどまっている。
同州の民主党委員長、リタ・ハート氏はこれほどの接戦が本物であるなら、ハリス氏もしくは副大統領候補のウォルズ氏は投票日前にアイオワ州を訪問するのが良策だと提案する。しかしそのような計画は耳に入っていないという。同氏は民主党の全国戦略に対する批判は控えた。
アイオワ州政府高官で唯一民主党メンバーであるロブ・サンド州監査官は、最新の世論調査結果を踏まえ、いずれの陣営も最終的にはアイオワをほぼ無視したことを悔やむのではないかと指摘する。
民主党がアイオワ州を僅差で落とした場合、「こうすれば良かった、ああすれば良かった、こうすべきだった」という反応になるかもしれないと同氏は語った。
原題:Harris’ Late Iowa Surge Energizes Democrats in Republican State(抜粋)
--取材協力:Bill Allison.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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