(ブルームバーグ):暗号資産(仮想通貨)交換業者クラーケンは、新たな共同最高経営責任者(CEO)就任に伴う組織改編の一環として人員削減を実施する。同社の広報担当者が明らかにした。
広報担当者は人員削減の規模や対象についてはコメントを控えた。米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)は事情に詳しい複数の関係者を引用し、従業員全体の15%に相当するおよそ約400人が削減対象になると報じた。
これまで単独でCEOを務めていたデーブ・リプリー氏と共に、ベンチャー企業トライブ・キャピタルの共同創設者アルジュン・セティ氏が共同CEOに就いた。
クラーケンは30日のブログ投稿で、純収入が10億ドル(約1530億円)を超えたタイミングで、長年にわたって形成された経営層を取り除くため「組織上の規律に関する決定」を下すと説明した。
2011年にサンフランシスコで設立されたクラーケンは新規株式公開(IPO)の可能性の検討を続けながら、新たなプロダクト分野や市場に進出してきた。ブルームバーグは今年、同社がIPO前では最後となる資金調達を検討していると報じた。
暗号資産業界では人員削減が相次いでいる。米証券取引委員会(SEC)から今年提訴されたイーサリアム・ソフトウエアプロバイダーのコンセンシスは29日、全従業員の20%に当たる162人の削減を決めた一因として、規制を巡る不確実性を挙げた。また、分散型取引所運営のdydxトレーディングは従業員の35%を解雇したと発表した。
他の多くの暗号資産関連企業と同じく、クラーケンの今後は米大統領選後にデジタル資産に関する米政策が変更されるかどうかに左右される可能性がある。
昨年、SECはクラーケンが交換業者、ブローカー、ディーラー、清算機関の業務に携わっているにもかかわらず適切な登録をしていないとして提訴した。それに先立ち、昨年2月にクラーケンは「ステーキング」と呼ばれる仮想通貨関連サービスの提供で米証券法に違反したとされる疑惑を巡り、民事制裁金などの支払いでSECと合意していた。
原題:Crypto Exchange Kraken Lays Off Workers as New Co-CEO Joins (1)(抜粋)
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