30日の日本市場では株式が続伸。好業績銘柄を中心に買いが入り、日経平均株価は終値で2週間ぶりに3万9000円台を回復した。債券は長期債が上昇し、円は1ドル=153円台前半で推移した。

株式は日経平均、東証株価指数(TOPIX)ともに3日連続の上昇となった。国内外で主要企業の決算発表が本格化する中、電力セクターやハイテクの一部が相場の上昇をけん引した。衆議院選挙を通過し、政府が近くまとめる経済対策への期待も押し上げ要因だ。

目先は日本銀行があす31日に金融政策決定会合の結果を発表するほか、米国では週末に10月の雇用統計発表、来週の大統領選挙など重要日程が多く控える。債券は前日の米金利低下を手掛かりに先物や長期債が買われたが、投資家の様子見姿勢は根強く、円相場は明確な方向感が出なかった。

日銀会合では政策の現状維持が見込まれており、野村証券の松沢中チーフ・ストラテジストは12月利上げに向けた地ならしが行われる可能性も低いと予想。あまりハト派の印象を与えて円安を加速させることは避ける必要があるとしつつ、植田和男総裁の会見では「政策判断に時間的な余裕がある」などといった従来のフレーズが維持されるとの見方をリポートで示した。

株式

株式相場は上昇。好決算を受けて電力株が高く、米国のハイテク株高を手掛かりに電機や精密機器株が買われた。衆院選を通過した安心感や最近の円安傾向も追い風だった。

日立製作所が2.3%上昇してTOPIXを最も押し上げた。第2四半期の利益が予想を上回ったキーエンスのほか、米アルファベットの好調な業績を受けてディスコやHOYA、ソニーグループが買われた。業種別では四国電力や中部電力が通期の利益予想を上方修正したことなどが材料視され、電気・ガスが上昇率首位だった。

アイザワ証券事業推進部の河西幸弘シニアストラテジストは、衆院選が終わり、「国民民主党が自民党と協力していく形が見えたので、安心感で株が買われている」と指摘した。

T&Dアセットマネジメントの酒井祐輔シニア・トレーダーは、日銀があすの会合で政策を据え置くとの見方から円が軟調に推移し、株式相場を下支えしていると話す。電力株については、「原子力発電所の再稼働を推進する国民民主党の影響力が強まっている」ことも押し上げ要因だと述べた。

 

債券

債券相場は中長期債が上昇。米国で長期金利が低下したことを受けて買いが優勢となった。超長期債は財政拡張への懸念から30年債が売られた。

三井住友トラスト・アセットマネジメントの稲留克俊シニアストラテジストは、中長期債は米長期金利の低下を受けて買われたと指摘。一方、「衆院選で与党が過半数を割り込み、財政拡張を主張する野党の協力が必要になっていることが超長期債の重し」だと言う。

新発国債利回り(午後3時時点)

 

為替

東京外国為替市場の円相場は1ドル=153円台前半で推移。米長期金利の低下を受けてドル売りが先行。その後はあすの日銀会合や週末の米雇用統計、来週の米大統領選を控え方向感を欠く動きとなった。

ドイツ証券外国為替営業部の小川和宏ディレクターは円相場について、米国の利下げ観測を左右する雇用統計や大統領選が近づいていることから、足元の米金利上昇やドル高に対する「調整の動きが主導している」と説明。もっとも、米大統領選は接戦ながらもトランプ前大統領が優勢との見方に傾いており、ドルの支えになりやすく、円の上値は重いと話した。

 

この記事は一部にブルームバーグ・オートメーションを利用しています。

--取材協力:山中英典、横山桃花.

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