(ブルームバーグ):「砂漠のダボス会議」とも呼ばれるサウジアラビアの国際投資会議「フューチャー・インベストメント・イニシアティブ(FII)」にイーロン・マスク氏がバーチャルでサプライズ登場し、スピーチを行った。テスラの非公開化構想を巡り、同氏とサウジの関係は悪化したが、今回の会議参加は関係修復を示唆するものだ。
マスク氏は2018年のツイートで、テスラの非公開化を検討しており、そのための資金調達手段を確保したと表明。このツイートに欺かれたとして複数の投資家が損害賠償訴訟を起こしたが、昨年、米連邦地裁の陪審が訴えを退ける評決を下した。
裁判の審理でマスク氏はこの投稿を行った際にテスラの非公開化を望んでいたのはサウジの政府系ファンド(SWF)、パブリック・インベストメント・ファンド(PIF)だったと証言。
非公開化を目指していた時期にPIFのヤセル・ルマイヤン総裁と交わした一連のテキストメッセージも裁判の過程で公開され、同総裁とマスク氏の見解の相違があらわになっていた。
報道によると、マスク氏の「申し訳ないが、一緒に仕事はできない」とのメッセージにルマイヤン総裁が「それはあなた次第だ」と返答するやりとりもあったという。

しかしその後、関係は変化したようだ。マスク氏はFII会場の満員の聴衆を前に、人工知能(AI)の可能性と潜在的なリスクに関するスピーチを行った。ルマイヤン総裁も最前列に着席していた。
マスク氏は「AIは毎年10倍のペースで進歩している。おそらく今後1、2年のうちに、人間がなし得ることは何でもできるようになるだろう」と語った。
原題:Musk Speaks at FII, Years After Feud With Saudi Wealth Fund Boss(抜粋)
--取材協力:Matthew Martin.
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