(ブルームバーグ):米南東部の州に壊滅的被害をもたらしたハリケーン「ヘリーン」と「ミルトン」への米政府の対応を巡り、ロシアや中国とつながりのある外国勢力が偽情報を拡散させていると、米当局者が明らかにした。
この当局者によると、ハリケーン被災者の救援資金利用を米政府が拒んでいるとする偽情報などが拡散されていた。匿名を条件に機密解除された情報について説明した。フロリダ州のディズニーワールドがあたかも洪水に見舞われたかのような偽画像の投稿はロシア大統領府とつながりのあるアカウントからのものだったという。
ハリケーンの被災地を視察するハリス副大統領の横に、米政府の資金は全てウクライナや中東での紛争支援に充てられたと書かれた看板が見える偽画像も拡散したが、これは中国政府に関連するアカウントから投稿されたと当局者は述べた。この画像は人工知能(AI)で生成した可能性が高い。
当局者はこうした外国勢力が偽情報を拡散するために使用したプラットフォームの具体名は挙げなかった。
二つのハリケーンが米南東部を襲った後、X(旧ツイッター)をはじめとするソーシャルメディアで政府のハリケーン対応を標的とした陰謀論やヘイトスピーチが飛び交った。さらにトランプ前大統領やXを所有するイーロン・マスク氏が未検証の主張を増幅させた。
偽りの主張の中には、連邦緊急事態管理局(FEMA)が救援資金を不法移民向けに転用し、被災者には750ドル(約11万5000円)しか支給しないというものも含まれていた。 他にも、政府がこの機に乗じて私有地を接収するというものや、連邦当局が何らかの方法でハリケーンを発生させたとする偽情報が、証拠もなく展開された。
FEMAはハリケーン「ミルトン」がフロリダ州に上陸する前に開いた説明会で時間を割いて、偽情報を巡る疑念を一掃。 偽情報の配信元の調査を検討しているとした。
緊急対応当局者や過激思想研究者は、災害時にこのような偽情報が広がると、避難命令を無視したり、政府の救援を拒否したりする人が出てくる恐れがあり、現実の危険につながると警告する。また政府機関を標的としたヘイトスピーチは、救援物資を届ける当局者への暴力を扇動する可能性があると指摘した。
原題:Instigators Tied to Russia, China Spread Storm Disinformation(抜粋)
--取材協力:Justin Sink、Ari Natter.
もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
©2024 Bloomberg L.P.