(ブルームバーグ):米半導体大手エヌビディアの決算発表はまだ約1カ月先だが、同社の主要顧客であるハイテク大手が今週相次ぎ発表する決算が、最高値圏で推移するエヌビディア株価の行方を左右しそうだ。
今週はマイクロソフト、アルファベット、アマゾン・ドット・コム、メタ・プラットフォームズが決算を発表する。エヌビディアへの需要動向を見極める上で、各社の人工知能(AI)設備投資に注目が集まる。ブルームバーグが集計したデータによると、エヌビディアの5-7月(第2四半期)売上高のうち4割以上をこの4社が占めた。
同ハイテク4社は過去最高となる設備投資を発表すると見込まれているが、何らか失望を誘う内容となれば、エヌビディア株価が乱高下する恐れがある。エヌビディア株価はAIを巡る楽観から今年ほぼ3倍に値上がりしており、時価総額は2兆ドル(約306兆円)余り押し上げられている。株式市場全体にとっても重要な局面となりそうだ。S&P500種株価指数は今年、22%値上がりしているが、その約4分の1をエヌビディアが占めている。

ラウンドヒル・インベストメンツのデーブ・マッツァ最高経営責任者(CEO)は「これらの企業が総じて設備投資について緩やかなペースでも増加していると発言すれば、それはまさにエヌビディアが足元の勢いを維持するのに必要なものだ」と指摘。「さえない内容となれば、株価が荒れるかもしれない」と述べた。
ブルームバーグがまとめたアナリスト平均予想によると、これら4社による7-9月の設備投資額は合計で過去最高の560億ドルと予測されている。その大半はエヌビディアなどAI関連機器メーカー向けとみられ、設備投資額は今後数四半期にわたってさらに増加すると見込まれている。
AI関連投資は今後も堅調に推移しそうだ。オランダの半導体製造装置メーカー、ASMLホールディングから半導体の受託生産大手、台湾積体電路製造(TSMC)まで、AIは今回の決算シーズンで明るい材料を提供している。

一方で、ハイテク大手のAI支出を巡っては、それほど売上高の押し上げにつながっていないとして投資家から懸念の声も上がっている。そのため、AI投資による収益への影響もハイテク大手決算の注目点だ。

ブルームバーグのアナリスト調査によると、エヌビディアの2025年1月期売上高は1256億ドルと、前年の2倍以上になる見通し。26年1月期は44%増の1810億ドルに達すると予想されている。
AI支出で恩恵を受ける企業はエヌビディア以外にもあり、ブロードコム、スーパー・マイクロ・コンピューター、デル・テクノロジーズなどの株価動向にも影響を与えそうだ。
原題:Nvidia Has Lots Riding on This Week Even as Earnings a Month Out(抜粋)
--取材協力:Subrat Patnaik.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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