イスラエル政府は26日のイラン空爆後、際どいバランスを取ろうとしている。政府当局は今回の攻撃が重要な戦略的打撃を与えたと考える一方、イランが引き続き報復に値しないと片付けることを望んでいる。

イスラエルの当局者らは、攻撃の詳細についてコメントしないよう指示された。しかし、ネタニヤフ首相は昨年10月7日のイスラム組織ハマスによる奇襲攻撃の犠牲者を追悼する式典でイランへの攻撃について、「イランの防衛能力と、われわれに向け発射されるミサイルの製造能力に深刻な打撃を与えた」と称賛。攻撃は「精密かつ強力」で、「全ての目標を達成した」と語った。

イランへの空爆について語るイスラエルのネタニヤフ首相(10月27日)

イスラエルのガラント国防相とオースティン米国防長官は電話会談で、「ミサイル製造施設や地対空ミサイル、イランの航空戦力への攻撃成功に関する初期評価」について話し合った。会談要旨が公開された。

 

アナリストらは26日の作戦について、恐らく米大統領選後、イランの核施設や石油インフラが標的になり得る新たな攻撃に道を開く可能性があると分析した。

一方、米中央情報局(CIA)のバーンズ長官はカタールで、イスラエルの対外情報機関モサドのバルネア長官率いるイスラエル代表団と共に停戦交渉の再開を目指している。

ライヒマン大学で講師を務めるミール・ジャベダンファル氏は「イランのミサイル製造能力がどの程度打撃を受けたかは明らかでないが、打撃を受けたという事実は、イランの兵器生産施設の中枢がイスラエルによる攻撃の射程範囲内にあるという非常に重要なメッセージを送る」と指摘した。

イランの最高指導者ハメネイ師は27日、イスラエルの攻撃を誇張も過小評価もすべきでないと発言。「イスラエルの計算違いを阻止しなければならない」と述べる一方、イランの力と決意、イニシアチブを「彼らに明確に示す必要がある」と訴えた。

原題:Israel Boasts Strategic Importance of Iran Attack, Quietly (1)(抜粋)

--取材協力:Dan Williams.

もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp

©2024 Bloomberg L.P.