(ブルームバーグ):米株式市場では大型ハイテク銘柄の勢いに陰りが見られるものの、相場全体は引き続き堅調だ。今年前半に苦戦していた不動産など他のセクターに株高の裾野が広がってきたことが背景にある。
しかし、業績面で同じことが言える訳ではない。そのため、広範な相場上昇の持続性について疑問視する声も出ている。
ミラー・タバクのチーフ市場ストラテジスト、マット・メイリー氏は「株価の動きを見れば、ラリーの幅は広がっているのかもしれない。しかし、業績面について言えば全体には広がっていない」と語った。
ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)がまとめたデータによると、S&P500種株価指数構成企業の利益は前年比4.3%増と予想されている。しかし、ハイテク7社「マグニフィセント・セブン」を除外すると、その利益の伸びはほぼ消失。ハイテクと通信を除くと、利益成長はマイナスが見込まれている。

こうした見通しは、「コーポレート・アメリカ」がハイテク企業の利益創出力にいかに依存しているかを改めて浮き彫りにする。
シティグループのストラテジスト、スコット・クロナート氏は「最も力強い利益成長の可能性があるのは依然としてハイテクと通信、そして一部の一般消費財セクターだ」と指摘。「米株には、そうした『成長』グループの増益への継続的な確信と、他の業種での継続的な改善傾向の両方が必要だ」と述べた。
株価の動きだけを見れば、他のセクターがすでに好調な業績を上げていると投資家が考えてしまうのも無理はない。
7-9月の上昇率で見ると、アルファベット、アマゾン、アップル、メタ・プラットフォームズ、マイクロソフト、エヌビディア、テスラで構成するマグニフィセント・セブンの指数は、S&P500種の均等加重バージョンであるS&P500イコールウエート指数を下回った。これは2022年以来となる。S&P500種の業種別では、7月以降は公益事業、不動産、金融が上げ相場の主役となっている。

しかし、業績を見るとストーリーは異なる。成長の主役は依然としてハイテクと通信だ。ウォール街のアナリストは、マグニフィセント・セブンの7-9月の利益は前年同期比18%増と予想している。4-6月の同37%増からは大きく落ち込むものの、S&P500種全体を引き続きリードしている。
ジョーンズトレーディングのチーフマーケットストラテジスト、マイケル・オルーク氏は「S&P500種はマグニフィセント・セブンを除くと利益が伸びていないが、バリュエーションは魅力的だ」と指摘。「一方でマグニフィセント・セブンは、高いバリュエーションを正当化するには高い期待に応える必要がある」と語った。
実際、S&P500種を構成するセクターのうち、7-9月の1株当たり利益(EPS)で2桁の伸びが予想されているのは情報技術と通信だけだ。BIのデータによれば、S&P500種全体ではEPSの伸び率は4.3%と予想されている。
トライバリエート・リサーチ創業者のアダム・パーカー氏は「超大型ハイテク企業のガイダンスはポジティブなものとなるだろう。このグループの業績予想が切り上がれば、S&P500種が下がると考えるのは難しい」と述べた。
原題:As S&P Rally Broadens Beyond Tech, Profit Growth Remains Elusive(抜粋)
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