(ブルームバーグ):日本通運の親会社であるNIPPON EXPRESSホールディングスは、高い成長が見込まれるインドで合併・買収(M&A)を模索している。物流業界を取り巻く環境変化で商機が見込める海外市場の開拓を強化するため、良い案件があれば財務目標を犠牲にしても実行する構えだ。
NPNEXで海外事業を統括する古江忠博専務が今月、都内でのインタビューで明らかにした。同社は2月に公表した経営計画で、2028年12月期に投下資本利益率(ROIC)10%以上などの目標を掲げたが、古江氏は「いいものがあれば借金してでもという考え方」で財務面の目標に固執せず、海外事業の拡大を優先させる姿勢を示した。
同社は江戸時代の「飛脚」にルーツを持ち、戦後は日本企業の物流を支える黒子役に徹してきた。ただ新型コロナウイルス禍や半導体不足を経て供給網の重要性が意識される中、従来はコストとしか捉えられなかったロジスティクスが「経営戦略に近しいところに位置付けられてきている」と古江氏は指摘。業界変化を受けて、海外企業との取引拡大に力を入れる。23年時点で約26%の海外売上高比率を28年には40%に引き上げる計画だ。
関心を寄せるインドは、全土を網羅する規模の現地大手運送会社は存在せず、「メガフォーワーダー」と呼ばれるスイスのキューネ・アンド・ナーゲル・インターナショナルや独DHLグループなどとも「雌雄を決していない」市場だとして、「リーディングポジションを取れるよう」意識しているという。
GAFAMクラス
NPNEXは1月、オーストリアのカーゴ・パートナー(CP)株を取得した。最初に8億4500万ユーロ(約1260億円)を支払い、買収後に一定の条件を満たせば追加の支払いが生じる。9月にはヘルスケア産業向けに物流事業を展開するドイツ企業の子会社化も発表した。古江氏によると、これにより国際貨物の世界ランキングでベスト5入りが視野に入ったという。
古江氏は要求水準が高い日本企業との取引で培った品質やきめ細かいサービスが自社の強みで、海外競合と差別化できると考えているという。実際、日本で取引を始めた「GAFAMクラス」の米大手IT企業から、インドでの倉庫業務についても6月に受託。今後は複数の国で入札に招かれる予定だという。
一方で激しい競争に勝ち抜く必要もある。メガフォワーダーの一角を占めるデンマークのDSVも9月にドイツ鉄道傘下のDBシェンカーを企業価値143億ユーロ(2兆2000億円)で買収すると発表。手をこまぬいていれば再び突き放される可能性もある。
SMBC日興証券の川嶋宏樹シニアアナリストは3月のレポートで、経営計画の目標達成には相当の改革スピード加速が必要と指摘している。
CPなど2社の買収で、NPNEXが経営計画で設定していた28年までのM&A資金枠2000億円の半分以上を使った計算になるが、古江氏は枠がなくなったから今後4年間「何もしないというわけではない」と述べ、魅力的な案件であれば予算を上積みして対応するとの考えを示した。
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