「起きていい対立」と「起こらなくていい対立」の違いは?
街中で声を掛けられるなど、特に年下世代の市民との距離も近い。
「小中高校生たちは、別に市政なんて関係ないやろ、と思うかもしれない。でも実は学校って、まさに市の仕事。そこを徐々にわかってくれる子たちが増えてるのは、すごく嬉しい」
市長として高い認知度があるなか、意識していることは?という篠原アナの質問に対して髙島さんはこう応じる。
「自分の考えが、あくまで自分の目線で見た話だと意識して行動する。ちょっとあかんな、と思うことも別の視点では正しいよね、って話ってままあるやん?そこは気をつけてる」
こうした考えに至ったのは海外で過ごした経験が大きいという。「自分が常識だと思ったことが全然違うってことばかり起きていたから、常に一歩引いてみるのは大事かなと」
また、不慣れな海外生活で「誰かに助けを求めるのはすごく大事」と思えるようになり、灘高校や東京大学など国内のエリートコミュニティーで過ごしたときの常識から脱出できた思いだった、と髙島さんは振り返る。
相手の視点に立つことを強調しつつ、髙島さんは対立を避けているわけではない。「起こって良い対立と起こらない方が良い対立があると思ってて。意見が違えば議論して掘り下げた方がいい。
だけど、いつの間にか全然違う方向に進んだり、お互いが嫌いになって終わったりする方向に進む対立ってある」その原因はだいたいプライドで、それは「いらない」と投げ捨てるジェスチャーをして笑う。
「エリートの人来たな」というステレオタイプ的な見方に対してはどう向き合ってきたの?という問いには「自分が今から何をするかが大事で、過度にプラスにもマイナスにも捉えない」と淡々と答える。
「過去は過去というか…。あえて言うと、教育分野に熱意を持ってきたから、恵まれた教育を受けてきたなかで、活かせるものがあったら活かしたい。それは1つの大事な責任かな」
腰は低く目を見て話し、あいづちは激しく。対談で見せたそのままの姿勢で周囲に芦屋のふるさと納税を宣伝する小さなカードを配りつつ、髙島さんは去っていった。