■「日本でビッグマックを買って、アメリカで売ったら儲かる」
駒田キャスター:
通常、経済の教科書であれば「アメリカのインフレが進めば、ドルの価値は下がり、日本の円の方が強くなる」。この大きな1本柱が、今までの教科書通りにいっていないということが個人的には怖いです。
末廣さん:
そうですね。よく“ビッグマック指数”と言われるんですけれども「マクドナルドのビッグマックを、アメリカと日本のどちらで買うのが得か」という観点で為替が決まってくるとすると、日本のビッグマックの方がだいぶ安いわけですので、本当はもっと円高になっていないとフェアではないということですね。なので「日本でビッグマックを買って、アメリカで売ったら儲かる」という状況になっているのは事実なんです。そういう意味で「不当に円が安い」と物価の観点からは言えると思います。それほど、円を売る理由があるという状況なのかなと思いますね。
■「円安」ってメリットじゃないの?
駒田キャスター:
株との関連って、円高・円安でどう関連してくるんでしょうか。
末廣さん:
株価と経済は、分けて見ないといけないと思っています。日本の経済で見ると、約8割がサービス業なんですよね。サービス業というのは、いわゆる内需系の企業が多くて、そういう意味だとざっくり7、8割、日本の企業は内需に依存してるということなんですよね。
一方、東証株価指数など、実際上場して株が取引されている企業というのは、むしろ製造業の方が多いです。株価に影響を与えるような企業で、物をたくさん輸出している製造業には、円安のメリットがあります。ただ、日本の実体経済の中でかなり多い内需系の企業からすると、輸入のコストだけ上がってしまったり、エネルギーの価格が円安で上がり、電気代も上がってしまうなど、ネガティブな面が多くなってきます。
一概に良い悪いというのはなかなか難しいんですけれども、GDPの水準もまだコロナ禍の前に戻っておらず、家計も苦しい状況ですので、悪い面が注目されているのかなと思いますね。