株価も為替もともに30数年ぶりの水準となった日本ですが、金利だけが低い状態が続いています。そのような中、日本銀行の植田和男総裁の発言などから、近年は誰も意識することのなかった「金利のある世界」の到来がささやかれています。実際に訪れた場合、気になるのは住宅ローンの行方や株価の動向です。「金利のある世界」への備え方を専門家2人に聞きました。

マイナス金利の解除は「無風でいけそう」「混乱生む可能性も」

日銀の植田総裁は2月22日、日本経済が「インフレの状態にある」と踏み込んだ発言をし、マイナス金利の政策修正に向けた地ならしではないかとの臆測が広がりました。

大和証券でチーフエコノミストを務める末廣徹さんは発言を受けて「マイナス金利の解除はあるのでは」と話します。

一方で、「マイナス金利を解除して株価の上昇をとめたとなると、日銀が批判されるので、あまり『利上げ』や『引き下げ』という空気は出したくないはずです。けれど、マイナス金利は異例の政策で副作用も多いのでやめたい、というようにバランスが難しい。ただ、発言後もマーケットはそこまで動かなかったので、無風でいけそうな感じもします」と説明します。

みずほリサーチ&テクノロジーズで主席エコノミストを務める宮嵜浩さんも「解除しようとすると、マーケットの大きな混乱を生んでしまう可能性もあります。けれど、マーケットを落ち着かせる上手なコミュニケーションを日銀はとっている印象があります」と話します。