セブン&アイ・ホールディングス(HD)は子会社セブン銀行株の一部を売却し、連結対象から外すことを検討している。カナダのコンビニエンスストア大手アリマンタシォン・クシュタールから買収提案を受ける中、これまでより一歩踏み込んだ構造改革を進める。

複数の関係者が匿名を条件に明らかにした。セブン銀の有価証券報告書によると、7&iHDはセブン銀の議決権46.4%を保有する親会社。関係者の1人によると、現在は検討段階のため売却先や譲渡額などは決まっていないという。

7&iHDからはコメントを得られていない。セブン銀行の広報担当者はコメントを控えた。

7&iHDは、クシュタールから買収提案を受けたものの同社が提示した買収額が低く、企業価値を「著しく過小評価」しているとして受け入れを拒んだ。こうした中で、市場は7&iHD自身による企業価値向上の打ち手に注目していた。

同社はアクティビストなどから度々、企業価値を高めるにはコングロマリット構造から脱却しコンビニ事業に集中するべきだと指摘されてきた。セブン銀を連結から外すことは、7&iHDがポートフォリオの改革を進める意思があることを改めて市場に示すことになる。

4日の取引で7&iHD株は反発、一時前日比3.2%高の2198円を付けた。セブン銀行株も同6.6%高の297.7円となった。

シンガポールに拠点を置くオルタス・アドバイザーズで日本株戦略責任者を務めるアンドリュー・ジャクソン氏は「セブン銀行には上昇の余地があるように思われるが、過剰に期待することは難しい」とし、7&iHDが10日に発表する6-8月期決算(第2四半期)でより詳しい情報が得られるかもしれないと指摘した。

アイザワ証券投資顧問部の三井郁男ファンドマネジャーは「セブン銀行を持っていることのプラスの面もある。連結から外すこと自体がグループの事業戦略上プラスかは吟味が必要だ」とした上で、セブン銀の売却を要求している投資家もおり、構造改革のスピード感が上がってきた印象はあるとした。

構造改革を巡っては、7&iHDは4月にイトーヨーカ堂を含むスーパー事業の新規株式公開(IPO)の検討を始めると発表した。ただIPOには数年かかり、市場からはスピード感に欠けるとの意見も上がっていた。

セブン銀行を含む金融関連事業の営業利益は全体の7.1%と存在感が大きい訳ではない。ただ、同事業の2024年2月期の営業益は381億円とスーパーストア事業(135億円)を上回り、稼ぐ力が強いことが分かる。

セブン銀行は、セブン-イレブンで24時間365日入出金を可能にすることを目的に2001年に創業された。国内に約2万7000台の現金自動預入支払機(ATM)を設置するほか、640社の金融機関などと提携する。

(識者コメントを追加して更新します)

--取材協力:我妻綾、田村康剛.

もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp

©2024 Bloomberg L.P.