(ブルームバーグ):米銀JPモルガン・チェースは、年初来のプラスリターンが最近の相場下落で全て失われる状況を受け、キャリートレードの75%が解消されたようだと分析を明らかにした。
アントニン・ドレール氏らストラテジストによれば、完全に信頼できる指標とはいえないが、グローバル・キャリー・バスケットのスポット・コンポーネントは、キャリートレードの75%が解消されたと示唆した。
G10と新興国市場、グローバル・キャリー・バスケットの損失が5月以降続いており、約10%のドローダウンで年初来のプラスリターンが消滅しただけでなく、2022年末以降のリターンも著しく縮小したとストラテジストらは顧客向けリポートで説明した。
米大統領選に加え、米国債利回り低下が低利回り通貨の支援要因になるリスクを考慮すると、キャリートレードは中長期的に見て魅力的な戦略とはいえないとした。
JPモルガンはその一方で、米経済が年内にリセッション(景気後退)に陥る確率を先月初めに想定した25%から35%に引き上げた。
JPモルガン・セキュリティーズのチーフエコノミスト、ブルース・カスマン氏らは、米国発のニュースが「労働需要の予想以上に著しい軟化と雇用削減の初期の兆候を示唆している」と顧客向けリポートで指摘した。2025年7-12月(下期)までのリセッション入り確率は引き続き45%と見込んでいる。
エコノミストらによると、「リセッションリスクの評価を今回若干引き上げたことは、金利見通しのより大幅な見直しとは対照的」という。JPモルガンは、米連邦準備制度などが金利を「高い水準に長く」維持する確率を2カ月前は50%とみていたが、今は30%に修正した。
インフレ圧力が低下する中で、JPモルガンは米連邦公開市場委員会(FOMC)が9月と11月の会合でそれぞれ0.50ポイントの利下げを決定すると予想している。
原題:JPMorgan Boosts US Recession Chance to 35% by End of This Year、JPMorgan Says 75% of Carry Trades are Closed, YTD Return Wiped(抜粋)
(キャリートレードに関する分析を追加して更新します)
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