8日の東京外国為替市場の円相場は一時1ドル=145円台半ばまで上昇。海外市場では日本銀行の内田真一副総裁のハト派発言を受けた円売りの流れが続いたが、日米の株式相場が下落する中、投資家心理の悪化による円売りポジションの買い戻しが出ている。金融機関が外為取引の基準レートとする公示仲値にかけてはドルが買われ、値幅の大きい展開が続いている。

SBIリクイディティ・マーケットの上田真理人金融市場調査部長は「きのうの日経平均株価は内田副総裁の発言を好感して上昇したが、米国株が上昇後に失速しており、株式市場が落ち着かないとドル・円も落ち着かない」と指摘。8日発表の米新規失業保険申請件数が注目され、「米指標が弱いと景気懸念から株安・円高が進む」と警戒する。

日経平均一時700円超安、米株安や中東情勢で不安再燃-半導体に売り

 

日銀は追加利上げを決めた7月の金融政策決定会合の主な意見を公表。「適時かつ段階的に利上げしていく必要」などの指摘があったが、相場への影響は限られた。SBILMの上田氏は「金融市場が混乱する前の見解で、内田副総裁の発言と対照的になるのは予想通り」と話した。

経済・物価の反応確認しつつ適時かつ段階的に利上げ必要-日銀意見

東京市場では日本株の下落を受けたリスク回避の円買い圧力がかかる一方、公示仲値にかけて実需のドル買い・円売りも指摘され、上下に振れが大きい展開が続いている。恐怖指数と呼ばれる米国株のボラティリティー指数(VIX)は依然高水準と、金融市場全体が落ち着いておらず、低金利の円を売って高金利通貨を買う円キャリー取引の巻き戻し進みやすい環境にある。

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