今週の米共和党全国大会では、バイデン政権に高インフレの責任を押し付ける発言が相次いでいる。

  バージニア州のヤンキン知事は「バイデン大統領とハリス副大統領が放ったインフレはこそ泥だ」と指摘。フロリダ州選出のリック・スコット上院議員は、トランプ前政権下では 「インフレ率と住宅ローン金利は低かった 」と強調。サウスカロライナ州選出のティム・スコット上院議員は「インフレが家計を圧迫している」と述べた。

  共和党は正式な選挙綱領で、インフレを終息させ、米国の物価を再び手に届く水準にすると表明した。

  だが皮肉なことに、減税や関税引き上げ、移民取り締まりを含むトランプ氏の綱領は物価上昇圧力をあおると受け止めるエコノミストや投資家が多い。米金融当局が金融緩和の開始を準備する中で、さまざまな政策が転換する可能性は2025年の持続的な利下げに対するリスクとして立ちはだかる。

  マクロポリシー・パースペクティブズの創設者で元米連邦準備制度理事会(FRB)エコノミストのジュリア・コロナド氏は、「この政策は控えめに言っても大幅なインフレをもたらすだろう」と述べた。

  

  投資家らはインフレ期待の高まりを反映した長期債の利回り上昇を見込む米国債市場の賭けを「トランプ・トレード」と呼ぶ。

  もちろん、トランプ氏が多くの提案を実行に移せるかどうかは議会の構成次第だ。また、トランプ氏の政策案の中には漠然とした宣言にとどまるものもあり、当選すれば、特に金融市場関係者の反発があれば大幅に変更される可能性がある。「トランプ政権が実際に矛盾に直面したらどう対処するのかは、本当に不確実性の源だ」とコロナド氏は指摘した。

  だが、トランプ氏が打ち出した提案を実行に移した場合、物価にどう影響するのか。以下で分析する。