力を合わせて、こいのぼりを空へ

4月10日。こいのぼりと武者のぼりを掲げます。支柱には、昭さんが裏の山で切り出してきたヒノキを使っています。

支柱の先端に飾るヒノキの枝を取りに来たやまこさんと周くん。

やまこさん「さおの先に飾りをつけるからね、ヒノキの枝を取るの」

小学3年生になった周くんが挑戦です。

やまこさん「あ!取れた!取りに行ってごらん、あそこ」

武者のぼりの支柱の先端にヒノキの枝と葉を飾ります。

ハンガリー時代の友人もお手伝い

この日は、友人が手伝いに来てくれました。ハンガリー出身のペルラキ・デーネシュさん。山口大学で講師をしています。ハンガリー時代に知り合いました。

やまこさん「久しぶり、シアー(こんにちは)て言わんにゃ、シアって」

優くん「シア!」

やまこさん「ホジュバジ(元気?)って」

優くん「ホジュバジ」

ペルラキ・デーネシュさん
「ヨールヴァジョク クスヌム(おかげさまで元気です)」

形を整えたヒノキの枝と葉を束ねて結びます。10メートルを超える大きな支柱は、みんなで力を合わせてロープを引いて立てます。

やまこさん「がんばれがんばれ。引っ張ってもっと引っ張ってどんどん引っ張って。どんどんロープ引っ張って、がんばれ」

子どもたちもお手伝い。木づちで打って、傾きを整えたら、ロープを巻き付けます。

昭さん「はい、あげて~」

やまこさん「はい、いち、に。まだよー。いち、に。もう一個。はい、ストーップ」

優くんが生まれた時に昭さんが買った武者のぼりです。父と母の家の紋が並んで描かれています。

やまこさん「どう?かっこいいね。ととさんとかかさんが結婚して、要くんたちが生まれました」

次はこいのぼりを上げます。周くんが、ジャンプしてロープを引きます。

やまこさん「ジャンプして、そうそう!」

大空高く、元気に泳ぎ始めました。

周くん「持ち上げるところが楽しかった」

優くん「なんか本当に空を泳いでいるみたいな感じできれい」

ペルラキ・デーネシュさん
「このモダンな21世紀の世界でこうやってちょっとした昔ながらの暮らし方を教える、学ぶことができる場所を作るのはすごい」

子どもたちを見守るこいのぼり

大きな武者のぼりとこいのぼり。この時期、やまこさんの家を訪れる人は、みんな目印にしているそうです。

やまこさん
「命をいつくしむというか大切にする気持ちも、このこいのぼりの風習とともに自分の中に生まれてきたような気がします」

昭さん
「これで子どもがね、喜んでくれるとそれが唯一の私の楽しみです。のびのびね、自然と親しんでもらって、すくすく育っていってくれれば。他の都会の子らに経験のできないことをここでずいぶんやってると思ってるんで」

季節のものを自分たちで収穫して味わう、里山での暮らしです。かやぶき屋根とこいのぼりが3兄弟の成長を見守っています。