深さ20センチでも、水がせき上がり…
用水路の水の深さは20センチほど。転落しても命の危険はないように見えますが─。
富山県農村整備課 平木叙光さん:「結局(水が)せき上がるんでこういう状況」
記者:「かなり水位が違いますね」

富山県農村整備課 平木叙光さん:「こっち側とこっち側、水位差ができるんです」
両脚が水をせき止め、上流の水かさが増しているのがわかります。

富山県農村整備課 平木叙光さん:「人がダムのようになってしまって。頭の上くらいまで水深は増えてしまうんで、そうなってしまった時にたいがい、水死されている」

取材を進めると、事故の背景には『冬に水を流す』という富山特有の事情も見てえてきました。
記者:「冬の用水路に水が流れるのって、富山県民の私からしたら当たり前なんですが、違うんですか」

富山県農村整備課 平木叙光さん:「富山の冬の用水は土砂をためないために水を流していて、春先に田んぼを始めようとする時に土砂を取るんですけど、その作業を軽減するためにというところもあって、一応、流しているのです」

富山県は、3000メートル級の山岳地帯を源とする河川の扇状地に平野が広がっています。
そのため、水路が急勾配で流れが速く、冬場でも土砂を排出するために農業用水路では水を流しているのです。
同じ豪雪地帯でも平地が多く土砂が流れにくい新潟県などでは、冬場は用水路に水を流していないそうです。