全国を震撼させた交番襲撃—警察装備を変え、社会を揺るがした惨劇
2018年6月26日午後2時過ぎ、富山市の静かな住宅街にある奥田交番で、日本の警察史を揺るがす事件が起きました。

元自衛官の島津慧大被告(当時21)が交番の勝手口から押し入り、稲泉健一警部補(当時46)を刃物で刺殺して拳銃を強奪。そのままわずか70メートル先の奥田小学校へ向かい、正門付近にいた警備員の中村信一さん(当時68)を射殺しました。警察官を襲撃して拳銃を奪い、さらなる殺人に使用するという凶悪な手口は、富山県内だけでなく全国に大きな衝撃を与えました。
全国警察の装備を変え、相次ぐ交番襲撃の「起点」に
警察庁は事件後、拳銃を奪われないようにするための「新型拳銃ホルダー」の導入を全国の警察に通達。警察官の装備そのものの見直しを余儀なくさせた、警察行政における大きな転換点となりました。さらに、この事件を皮切りに同年9月の仙台・東仙台交番襲撃事件や、翌年に再び富山市で起きた池多駐在所襲撃事件、大阪府吹田市の千里山交番襲撃事件など、全国で警察官を狙った交番襲撃事件が相次いで発生。「交番の安全確保」や「初動対応のあり方」という課題を全国に突きつけました。
2年4か月の歳月を経て—差し戻し審へのカウントダウン
一審の富山地裁による無期懲役判決は控訴審で破棄、地裁に差し戻されました。差し戻しに対する島津被告の上告は2024年3月に棄却。それから2年以上をかけ、13回に及ぶ期日前整理手続を経て審理をやり直す「差し戻し審(裁判員裁判)」の初公判が、2026年10月5日に富山地裁で開かれることが決まりました。判決言い渡しは12月8日の予定です。裁判の最大の焦点は、一審で認められなかった「強盗殺人罪」が成立するか否か、そして「死刑」か「無期懲役」かという刑の重さです。

止まったままの時と向き合い続ける遺族、重い口を閉ざしたままの被告。これまでの法廷記録から、島津被告がなぜ凶行に至ったのか、その生い立ちと暴力の背景に迫ります。










