滑川市になぜか行列ができるお寺があります。
しかも行列の理由は仏事・法要ではなく意外な理由なんです。その行列の訳とは?
滑川市の獨勝寺。
大通りから外れた場所にあるこの寺にこの日は、何やら行列ができています。
お客さん:
「(並んだのは)二時間とは言わないですけど、一時間半くらいですかね」
「びっくりしました、こんなに多いと思わなくて」
お客さん:
「知り合いとかに頼まれて買ってきてといわれたので、販売されるカスタードが結構美味しくて」彼らのお目当ては。ハワイのローカルフード「マラサダ」。
お寺スイーツの店長:
「今日は朝3時に起きて仕込みしました。たくさんいらっしゃるので今頑張って300個以上は作るようにはしてはいるんですけど」
開店:「すいません、お待たせしましたー」
お店の名前はお寺スイーツ「コンネ」店長さんの出身地・福岡県の方言で「おいで」という意味があります。
その言葉通り大勢の人で賑わっています。
ご夫婦で切り盛りされているこのお店。奥さんのお手伝いをしているジーンズ姿の店員。
接客するジーンズ姿の店員さん:
実はこの方・・・獨勝寺7代目の塩原知成さん。
でもなぜお寺でスイーツを?
住職・塩原知成さん:
「お寺に来る機会が一つでも増えればと思ってスイーツ屋さんを始めてみたり、色んなことをやっています」
富山県によりますと県内にあるお寺の数は2013年は1616でしたがことし4月1日時点では1540に。ここ10年間は毎年減少の一途をたどっています。
住職・塩原知成さん:
「なかなかお寺の収入だけでお寺の維持をしていくのも大変ですし、住職の家族全員が食べていくのも難しいというのが現状です」
塩原さんはお寺の広い空間を利用してヨガ教室や坐禅にも挑戦しましたが、お寺に来てくれる人はあまり増えず。。。
そこで奥さんの江里奈さんがパン講師の資格を持っていることを利用してパンづくり教室を開くことに。定員いっぱいまで人が集まりましたが。
住職・塩原知成さん:
「パン教室の生徒は増えるんですけども、なかなか一般の人までお寺に来て頂く機会が少ないということで、スイーツ屋さんをやればまた違う人がくるんじゃないかと」それが想像以上の反響を呼びました。
寺でマラサダの販売を始めたのは今年6月。江里奈さんが作ったマラサダを求め県内外から多くの人が訪れるようになりました。
でもなぜマラサダだったのでしょう。
塩原江里奈さん:
「(ハワイで食べたマラサダが)すごくおいしくて、いちばん自分が食べたいものを作って売りたいなと」
記者:「おいしい!生地ももちもちでクリームたっぷり。生地との相性抜群です」
週に1度だけ販売するマラサダ。販売の告知はインスタグラムのみです。
この日用意したマラサダは1セット4個入りを80セット。
午後1時の販売開始とともにマラサダが飛ぶように売れていきます。
行列が途切れることなく。。。
お客さん:「待ったかいありました」
お客さん:「今から夜勤なんで仕事に持っていって皆で食べようかなと、テンションあがって今日頑張ります、夜勤!」
あっとう間に残り1セットに。
最後のお客さん:「楽しみにしていたのでよかったです」
わずか40分で全て完売です。
時代の流れとともに、進む寺離れ。かつてのように日本人の心のより所となるには、新たなお寺のあり方が求められているのかもしれません。
住職・塩原知成さん:
「スイーツを買って皆が笑顔になってくれるなら、それもひとつの私どもの役割なんじゃないかなと」