
トークセッションは小児のほか、15歳から30代までの「AYA(Adolescent and Young Adult)世代」と呼ばれる若いがん患者を取り巻く課題や悩みについて、医師や看護師も交え意見を交わそうと富山県が主催して毎年開かれています。


今年はまず乳がんの治療を受けながら仕事と子育てをする吉田千恵さんと、入退院を繰り返しつつ会社員として働く 紙雄規さんが登壇しました。
2人はそれぞれ、縦軸に治療を受けてきた流れ、横軸に心の変化を示すペイシェントジャーニーと呼ばれるグラフを使って自身の体験を話しました。




その後のトークセッションでは、医師やがん看護専門看護師も加わり、会場からの質問に答えるかたちで語り合いました。
このうち、治療を続けながら仕事と子育てをしている吉田さんは「がんと診断されたときは、小学1年の長女と就学前の次女にありのままに打ち明けました。娘たちにとっては理解することが難しかったかも知れませんが、後々がん患者への偏見や間違った理解もなかったので、あのときにきちんと話しておいてよかったと思います」などと話していました。

これについて、がん患者や家族を支援しているがん看護専門看護師は「子どもは親が病気になったことを自分のせいだと思い込む傾向があり、親以上に気持ちが沈んでしまいがちです。『病気になったのはあなたのせいじゃないよ』とメッセージを送ることが大切です」などと話しました。


富山県によりますと2019年に県内で新にがんと診断された人は9674人。このうち15歳から30代までAYA世代は168人と2パーセント以下です。
この世代の患者は、治療を続けながらの仕事や結婚、出産、子育てといった様々なライフイベントが負担になることや、同じ境遇の患者が少ないことから孤独になりやすいといわれています。
トークセションでは、がんは日本人の2人に1人がかかる病気だが、治療方法の進歩によってかつての死の病のイメージが消えつつあるとして、患者たちが普段通りの生活や仕事、子育てを続けられるよう、周囲とともに話し合うことが大切といった意見が出ていました。

