富士フイルム富山化学は、14日、新型インフルエンザの治療薬「アビガン」について、新型コロナウイルスを対象とした開発を中止し、治療薬としての承認申請を取り下げると発表しました。

「アビガン」は、富士フイルム富山化学の前身の富山化学工業と富山大学医学部が新型インフルエンザの治療薬として共同開発した薬です。

新型コロナウイルスの感染拡大で富士フイルム富山化学は新型コロナの治療薬としての治験を行い、おととし10月、厚生労働省に製造・販売の承認を申請していました。

富士フイルム富山化学では、去年、ワクチン未接種の患者に対する重症化抑制効果を確認するため治験を開始しましたが、新型コロナに対応した開発を断念することを決めました。

ワクチン接種率の向上や重症化率が低いオミクロン株の流行で目標とした治験の症例数に達せず、取得できた84例のデータでは有意な結果が得られなかったということです。

富士フイルム富山化学は、新型コロナ治療薬としての承認申請を取り下げるとしています。