大阪南労働基準監督署は自殺での労災を認定

上田直美さん:「優しい子でした。年に2回のボーナス時には家電製品を送ってくれて、私が自分の好きなように使いなさいといっても毎回家族を気にかけてくれる。そんな息子でした」

優貴さんとの思い出の日々を振り返った直美さん。講演の中では、優貴さんが生前に残した日記の最後のページに綴られていた父への感謝も明かしてくれました。

上田直美さん(日記を朗読):「かなり長い時間プレッシャーの中で働くことの大変さに気づいて、今まで距離をとってきたことを申し訳なく思った。誰よりもまじめで辛抱強い父だと今更ながらに気づいた。おれは今27歳、親は56歳。何とか感謝を伝えたい、働くことはめっちゃつらいし、つらい中で家族を守ることはとても大変だと気付いた。今俺は仕事が全然できなくて、毎回怒られてばかりでとてもつらい。でもなぜか今になって父のことを思い出す。父は働いているとき何をやりがいにして仕事をしてきたんだろう。朝早くから夜遅くまで働いていることはすごい。それを30年以上続けることは並はずれる努力のたまもの。今になって父の子でよかったと思う」

日記には「昼まで死にたかった」「日曜の休日をクリアし、生き延びることができた」など死をほのめかす表現もあり、直美さんは、優貴さんは自殺だと思ったといいます。さらに優貴さんが自ら飛び降りたとみられる防犯カメラの映像もあり、確信に変わりました。

しかし、会社側は「通常の事故として労災申請をしたい」と申し出てきたと言います。

上田さんは優貴さんの労災を申請。大阪南労働基準監督署はことし3月「海外での経験のない業務や上司からの叱責で精神障害を発症していた」として自殺での労災を認めました。