痛みに耐え「描いている時だけは落ち着く」

この「痛み」の記録を描いたのは高岡市の精神科病院に長期入院しているH氏です。

ばーと◎とやま 米田昌功代表:「よう描きましたね、こんなにいっぱい」

H氏:「よう描いた」

心の病を抱えていたH氏。大けがをしたことがきっかけで、自分の中に起きる痛みや違和感と向き合い始め、人知れず記録を描き続けてきました。

この記録に最初に目を留めたのは、6年前、雑誌の取材で病院を訪れたカメラマンの大西暢夫(おおにしのぶお)氏です。

大西氏は県障害者芸術活動支援センター「ばーと◎とやま」の米田昌功(よねだまさのり)代表に連絡、米田代表がH氏と面談を重ね、10年間に及ぶ膨大な量の記録があることがわかりました。

記者:「どうして描き始めたんですか、痛みを」

H氏:「メモみたいなことして、しばらくほっておいたら、次から次から頭に浮かんできた」

H氏は発表するために記録を描いていたのではありません。米田さんによりますと、絶えず襲ってくる痛みが「描いている時だけは落ち着く」と話していたということです。